チューリヒ美術館展(@国立新美術館)

チューリヒ美術館展(@国立新美術館)

印象派以降の著名な画家の作品が多く、
期待以上に内容の濃い展覧会だった。

例によって、心に残った作品を挙げていこう。

・ピエール・ボナール「庭に憩う家族」

ピエール・ボナール「庭に憩う家族」

やはりボナールの作品は、いつ見てもその高い技量に唸らされる。

この作品について言えば、
奥行きを求められる風景なのにもかかわらず、
敢えて遠近感を殺していったん対象をバラバラにし、
平面の上に色彩だけで、それらを再構成している。

上の画像で見ると分かりづらいが、
1辺が1メートル以上もあるこの作品を目の前でみると、それがよく分かる。

印象派とゴーガンの良い部分を折衷させたようだ。

・エルンスト・バルラハ「難民」

エルンスト・バルラハ「難民」

恥ずかしながら彫刻には疎いので、
バルラハの作品も初めて目にしたのだが、これは素晴らしいと思う。

フォルムは幾何学的な「立体」で、かつシンプルなのに、
ここまで動きと緊張感を明瞭に表現できるものなのか。

うーむ、これは新たな発見だ。

・オスカー・ココシュカ「モンタナの風景」

オスカー・ココシュカ「モンタナの風景」

ココシュカは、心がキリキリ軋むような暗い絵が多いのだけれど、
この作品には、そんな暗さは微塵もない。

セザンヌ的な山のような抽象化を行わずに、
色彩だけで町と自然の細部まで描いているのが、お見事。

前景が立体的に浮かび上がって見えるように、
意図的に配置・配色を行っている。

・カンディンスキー「黒い色斑」

カンディンスキー「黒い色斑」

最近、ようやくカンディンスキーが理解できるようになってきた。

彼の抽象画は、一見、無造作に描かれているようなのだけれど、
そこにはリズムというかバランスが明確に存在していて、

それを「聞き取れる」ようになると、
俄かに心地よくなってくる。

「聞き取れる」と表現したけれど、
カンディンスキーの絵が音楽的と言われる所以はまさにここで、

モンドリアンがテクノだとしたら、
カンディンスキーはオーケストラ。
(個人的には、プロコフィエフかショスタコーヴィチって感じなのだけど。)

でも、この「黒の色斑」という絵から感じたのは、
音楽というよりも、「生命誕生」というイメージだった。

地球が形成されて海ができると、
やがてアミノ酸やら何やらが合成されて、生命が誕生する。

その混沌から秩序が生まれる様子が、この作品のイメージにぴったりで、
見ていて飽きない。

単純そうに見えるけれど、何とも奥が深い絵だと思う。

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