「芸術をめぐる言葉」(谷川 渥)
「芸術家の言葉」ではなく、
「芸術をめぐる言葉」だというところがポイント。

前者であれば右脳で理解できるものだけれども、
後者となればすなわち、
哲学者や思想家が「芸術とは・・・」と語ったものが多くなるわけで、
当然左脳が疲弊する。

前者だと思って読み始めたら後者だったので、
残念、疲れましたよ、というオチ。

いくつか例を拾えば、

「芸術は決してバロックではなく、バロックは決して芸術ではない。」(クローチェ)
「モダニズムは、芸術に注意を向けさせるために芸術を用いた。」(グリーンバーグ)
「芸術家は自分自身の亜流である。」(ベッカー)

なんだか禅問答のように聞こえるのは、
僕だけではあるまい。

でも中には、こういう直感的に理解できる言葉もある。

「解答はない、そもそも問題がないのだから」(デュシャン)
「セミの彫刻的契機はその全体のまとまりのいい事にある。」(高村光太郎)
「絶対に仮面を見つけなくてはならない」(ピカソ)

芸術批評家と芸術家の違いが、そのまま言葉に表れている。

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