「江戸絵画の不都合な真実」(狩野 博幸)

 

江戸時代の絵描きたちの、知られざる一面を、
闇に葬られてしまった史実をもとに論じた本。

登場するのは、
岩佐又兵衛、英一蝶、伊藤若冲、曾我蕭白、長沢蘆雪、岸駒、葛飾北斎、東洲斎写楽。

江戸絵画に詳しい人であれば、
これが相当「クセ者揃い」のラインナップであることは分かるはずだ。

僕も聞いたことのないような、江戸の随筆を典拠にして、
美術館の解説や、美術史の本では考えられないような角度から、
画家たちの本質に喰い込んでくる。

個人的に一番読みたかったのは、蘆雪の項。

応挙の一番弟子でもあり、
無量寺の虎図のような、伸びやかで純朴な絵を描いた人が、

なぜに殺されたり自殺したりといった噂が立つほど、
悲惨な晩年を送らなければならなかったのか。

結局は、芸術作品と、
それを生み出した「人としての」芸術家というものは、

どこまで一体として捉えるべきなのか、
というあのテーマへと誘導される。

この本で論じられた以外の絵描きについても、
同じような視点で眺めてみることで、

江戸文化の奥深さというか、
恐ろしさのようなものが、鮮明になるに違いない。

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