「ほとんど想像すらされない奇妙な生き物たちの記録」(カスパー・ヘンダーソン)

 

一言で「奇妙な生き物」といっても、
どんな生き物を挙げるのかは、人それぞれだと思う。

そもそも「奇妙」なのは、
名前なのか、形状なのか、生態なのか、鳴き声なのか・・、
何を基準にするのかで、結果は大きく異なるだろう。

そういう意味では、この本で採り上げられている「奇妙な生き物」は、
かなり変化球といってもよい。

なぜなら、ヒトやニホンザル、イルカといった、
一般的には「奇妙」とは対極にあると思われている生き物が含まれているからだ。

ではなぜそれらが「奇妙な生き物」として扱われているのか。
それがまさにこの本のミソで、

普通に動物たちを眺めるのとは違った視点、
すなわち、行動学、文化人類学、言語学といった角度で切り込むことで、
これらの動物の「奇妙さ」を浮かび上がらせている。

「奇妙な生き物」というよりは、
「変わった特徴をもつ生き物」といった方が、適切かもしれない。

ただ、「変わった特徴をもつ生き物」というだけなら、たくさんいるわけで、
その特徴に、我々にとって考えさせられるような意義があるものが、
ピックアップされていると考えるべきだろう。

つまりこの本は、単なる動物の紹介本なのではなく、
展開されている内容は、かなり深くて、広い。