「江戸の食空間」(大久保 洋子)

 

焼き芋屋のアナウンス、豆腐屋のラッパ、
店先で買うホクホクのコロッケ・・・etc.

僕の子供の頃にあって、
今の都会では見られなくなった「食」の風景といえば、
この辺りを思い出す。

でも今でもコンビニにいけば、レジ周りに、
焼き芋やコロッケが常備されていて、(さすがに豆腐はパック売りだが)

カタチは変われど、昭和の文化がまだ残っているようで、
なんだか嬉しくなることもあり、
ついつい買ってしまって後悔することもしばしばである。

こういう「都会のファーストフード」の源流はどこかといえば、
それは他でもなく、今から300年以上前の江戸であり、

てんぷら、にぎりずし、洗わずにそのまま食べられる野菜など、
まさに現代のコンビニやスーパーで売られている人気商品がそのまま、
屋台や歩き売りで、頻繁に売られていた。

武士などの上流階級による会席・懐石料理が誕生する一方で、
庶民に愛されたファーストフードも発明された江戸時代。

さらには、鰻・蕎麦・酒・菓子・調味料など、
現代につらなる「江戸の食」について、一通り触れている解説書である。

あらゆる文化において、「食」こそは、
その国の国民性を代表するものといってもよいであろう。