最近は、ネットで学術論文を検索、閲覧できる。

有料のものもあるが、中には無料で、興味深いモノに出くわすことがある。

この「三味線の運指法とサワリ現象について」は、
おそらく中能島欣一が、おそらく東京芸大の教官だったときに書かれた論文で、
何と言っても、超一流の奏者によって書かれたという点で、
他の解説書と比べても格段に説得力がある。

特に、勘所を押さえる際の「ズレ」をどこまで許容すべきか、というくだりは、
一応、音程を計測して客観的に論じてはいるものの、
最後は奏者としての感想を述べるなど、かなり貴重な内容になっていると思う。

論文のうち、本の形で世に出回るものはごく一部にすぎないので、
ネットでプリントアウトして読めるというのは、とてもありがたい。

中には、眉唾な内容の論文もあるが、
少なくともそれを書き上げるためには、著者はかなりの研究をしているわけで、
その知識を吸収しない手はない。