「国文学貼りまぜ」(円地 文子)

「国文学貼りまぜ」(円地 文子)

「国文学貼りまぜ」(円地 文子)
円地文子さんのエッセイは、お袋の味とでも言おうか、
とりたてて何が凄いというわけでもないのだけれども、

読んでていて安心する、戻るべきところに戻ってきたというような、
そんな文章である。

この本の中では、「平家物語」に登場する男たちについてが、
かなりの部分を占めている。

最近、戦国武将にハマる女性たちが多いことは知っていたが、
平家の男たちにも、モテ要素は多分にある。

美少年の敦盛を筆頭に、
知的な重盛、勇壮な知盛、陰のある維盛、歌人の忠度・・・・
皆、個性的だ。

よく「平家の公達」と言われるけれど、平家のベースはやはり武士であって、
武士だからこそ、東国の戦闘集団である源氏を相手にあそこまで戦えたのではないか。

だから、ちょっと優しい面もあるワイルド男子ということで、
もっと人気が出てもよいと思うのだが、どうなのだろう。

平家側のキャラの豊富さに比べて、対する源氏方はいかにもつまらない。

「平家物語」の作者(というか語り手)が、平家側に共感しているせいもあるだろうが、
源氏側の武将は、やはり冴えない。

田舎者丸出しで、情緒を解せず、個性が弱い。

ん、、これは何かに似てる、、と思ったら、「ガンダム」の世界か。

そういえば、あれも赤と白のモビルスーツの闘い、
「ガンダム」の世界観が源平の合戦をネタにしているなんて話は聞いたことはないが、
それだけステレオタイプとして、日本人の心の中に沁み込んでいるのだろう。

平家の男たちに対して女たちは、
著者も述べているように、あまり魅力的に描かれてはいないのであるが、

けれど、たとえば「源氏物語」に登場するような後宮の女性たちとは、
全く異なる生き方をしているのであって、

ある意味人間らしいというか、
男たちに振り回されながらも、自ら人生を切り拓いていくような生き方、

やはり新しい時代の感覚が、「平家物語」にはある。

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