「日本の古典芸能」(佐藤 健一郎)

「日本の古典芸能」(佐藤 健一郎)

僕の母校の(ウソ)、武蔵野美術大学における佐藤健一郎先生の一年間の講義を、
そのまま一冊にまとめたのが、本書である。

授業の多くは映像鑑賞で占められていたようだから、
文字部分だけでどれだけ読むに耐えるのかと思っていたけれど、

600ページを超えるボリュームになっており、
丁寧な講義が、映像なしでも十分に内容を伝えてくれている。

関係者のみに配られた非売品なのだけれども、
たまたまのぞいた古本屋で偶然目に留まり、迷わず購入した。

これは本好きにしか分からない感覚かもしれないが、
どんなに広い本屋に入っても、本を探すということはなく、
文字通り、本の方から自分を呼んでくれることが多々ある。

そんな馬鹿な話が、、と思われるかもしれないが、
書店の棚の中で、独特なオーラのようなものを放つ本があるのだ。

それを手にして、目次、序文、と読んで、
それこそが自分の求めていた本だと納得する。

この本が、まさにそれだった。

内容としては、タイトルのとおり、
古代から江戸時代までの、音楽・演劇・文学の特徴と見どころ・聴きどころを紹介し、
そして芸術・芸能とは何か、について熱く語ったものである。

講義の口調がそのまま文章化されているから、説得力・迫力は格別である。

特に、「菅原伝授」の寺子屋の段を、人物の動きごとに丁寧に解説し、
この作品が感動を呼ぶ理由はどこにあるのか、
我々現代人はここから何を学ばなくてはならないかを語るあたりは、素晴らしい。

こういう講義を年間を通して受けることができた学生は幸せだろう。

それに比べて、わが母校は・・・

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