「数学する人生」(岡 潔)

 

毎日のように読書を続けていれば、
自分に合う文章、合わない文章というのは当然出てくる。

でも、合わないなぁと思っても、
内容的に惹きこまれるものであれば、苦にせず読み続ける。

なので、自分の読書寛容度はかなり高いのだとは思っているが、
でも今回の本は、珍しくダメだった。

最近、何かと岡潔の名前を聞くことが多くて、
恥ずかしながら今まで彼の文章を全く読んでいなかったのと、

寺田寅彦や中谷宇吉郎のように、科学を本業とする人の文章には、
読み応えがするものが多いということを知っていたのとで、

書店で見かけたときには、わくわくしながら手に取り、購入した。
(岡潔の専門である「数学」は、厳密には「科学」ではないのだろうが)

嘘を書いても仕方がないので、はっきり言えば、
文体としても文章としても、寺田や中谷には遠く及ばない、

いや、そういった比較を抜きにしても、僕には全然魅力を感じない本だったので、
3分の2ぐらい読んでやめることにした。

所収されていた、岡夫人の文章の方が魅力的だったのは、
皮肉である。

ただ、この本に収められている文章がそうだっただけという可能性もあるので、
(その場合は、著者ではなく編者に責任がある)

しばらく時間をおいて、
他の著作に再度チャレンジしてみようと思っている。