「核DNA解析でたどる 日本人の源流」(斎藤 成也)

 

縄文人、そして弥生人はどこから来たのか、というのは、
日本人のアイデンティティに関わる問題でもあり、

言語や文化、身体的特徴など、
あらゆる角度から様々な検討が行われてきた歴史があるわけだが、

いよいよ「核DNA解析」という、決定打とでもいうべき手法によって、
日本人の源流を追究した結果が、本書の内容である。

そもそもいかなる科学的手法であっても、
それが正しいかどうかは100%信じることはできない。

そして本書で紹介されている手法が、
仮に100%正しいということが保証されていたとしても、
残念なことに、この結論は万人にとって納得がゆくものとは言い難いだろう。

乱暴に言ってしまえば、
最新の科学手法をもってしても、「日本人はどこからきたのか」については、
まるで分からないということなのだ。

もちろんこの本なりの結論は出しているけれども、
さもありなんという感じで、どうもすっきりとしない。

まぁでも、日本って国は東の果ての島国なわけで、
人種的・文化的吹き溜まりみたいなものだろうから、
これから先も一筋縄ではいかないのだろうけれども、

でもこの本で紹介されているような、
科学的根拠をもった推論が進んでいるということは、
これから先の研究の進展も大いに期待できるのだろうということで。

ちなみに、本の内容的には研究論文みたいな感じなので、
余程この分野に興味がある人以外にはオススメできない。

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