先日、チェロの先生と、

バッハのイギリス組曲第3番の「ガヴォットⅡ」(ミュゼット)は、
なぜアウフタクトで始まるのか、というマニアックな議論になり、

とりあえずyoutubeで聴いてみたところ、
もしかしたら、その前から続けて演奏される「ガヴォットⅠ」がアウフタクトだから、
それと合わせるために、「ガヴォットⅡ」もそうなのかも、、

という推察で終了となった。

もちろんそのままでは気持ちが悪いので、
帰ってすぐに楽譜を調べると、

確かに「ガヴォットⅠ」も「ガヴォットⅡ」も、
2分の2拍子でアウフタクトで始まる。

この2曲は続けて演奏されるのが常なので、
Ⅰがアウフタクトなら、Ⅱも同様、というのは理解できるのだけれど、

じゃあ、そもそもなんでⅠがアウフタクトなのよ、という疑問は残る。

例えば、終曲の「ジーク」は、
8分の12で、8分音符1つだけがフライングするアウフタクトなのだが、
これは、分かる。

でも2つのガヴォットは、2分の2で、ちょうど後拍から始まるから、
正直、アウフタクトにしなくてもよいのでは、と思うし、
そもそも子供の頃から長らく聴いていて、全然気付かなかったし。

ということで、この謎はこのままにしておいて、

でも、最低限ガヴォットⅠ・Ⅱは続けて弾くことに意味があるんだよね、
何と言っても、あの2曲の落差はバッハならではの前衛的表現だし、

と思っていたら、
たまたま聴いたリヒテルは、ガヴォットⅠ・Ⅱの間を、
バッサリと切っているではないか!

これはまた斬新な解釈!

そもそもⅠのアウフタクトが謎であるなら、
ⅠとⅡを切り離して、Ⅱの方も謎にしちゃえよ、、と、

一度納得していたところに、謎の追い討ちをかけられて、
もはや何が何だか、よう分からん・・・。

でもリヒテルのこのバッハは、骨太でキライじゃないぜ。

 

クラシック音楽というのは、
作曲家はとっくの昔に死んでしまっているから、
楽譜からすべてを解釈するしかない。

だから、上述のような想像や妄想、謎解きが許されるし、
実はそれが、弾く方も聴く方も楽しかったりするわけなのです。