エッセイ

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「日本酒の目きき 佳酒と駄酒をどう見わけるか」(稲垣 真美)

旨い酒だけでなく、 酒にまつわる人や土地についても語る、 酒好きにとってはたまらない本だろう。 副題に「どう見わけるか」なんて書いてあるから、 How to的なことが書かれているかと思うと、そうでもない。 要は、たくさん飲め、と。 イヤになるまで酒を飲めば、 自ずとウマい酒とマズい酒ぐらいは分かってくる。 もちろん、ウマい・マズいなんてものは、主観そのものなのだから、 人と価値観が同じである必要は […]

「変わらないために変わり続ける」(福岡 伸一)

  最近、というかいつもだけれども、 大きな本屋がある街でちょっと時間ができると、 その本屋にいって、新刊書コーナーを覗くようにしている。 新刊書なんて、どの本屋でも一緒なのでは? と思われるかもしれないが、そうでもない。 新刊書コーナーは、その本屋の個性表現のひとつでもある。 時事関連が多いのか、理科学系が多いのか、 小説か、新書か、などなど、 その本屋が何を読ませたいのか、つまり何を […]

「漱石を売る」(出久根 達郎)

  作者は直木賞作家らしいのだが、失礼ながら名前すら存じ上げず、 ただタイトルに魅かれて読んでみた。 作者の本業?は古本屋の主人ということで、 古本屋の日常にまつわる内容を中心とした、50編ほどのエッセイから成る。 正直、毒にも薬にもならない本とはこのこと。 感動もないし、感心もない。 そもそも、エッセイなのに書き振りが明らかにフィクションぽい。 万が一これが実話だったとしても、 フィク […]

「日本の耳」(小倉 朗)

  そもそも大学で日本語日本文学などという、 およそ飯の種にもならないようなものを学んだのも、 日本語に対する興味と愛着があったからで、 (日本人なら当然かもしれないが・・) それは今も変わらぬどころかむしろ強まっており、 一方で、音楽に対する情熱と、 音楽とは言葉と表裏一体であるという自論があって、 浄瑠璃を習い始めたのも、 そんな音楽と言葉の関係性を追究したいという思いが理由のひとつ […]

「書藪巡歴」(林 望)

  特に江戸時代の浮世草子あたりをベースに、 印刷や製本などについて語ったエッセイ集。 通常の文学研究とは違うアプローチなので、 僕のような書誌学のド素人には、 とても新鮮味がある。 著者の大学院時代から、渡英するまでの回想部分は、 研究室という場所の特殊性が浮き出ていて、面白い。 いつの時代も、どの大学でも、 国語・国文学の研究室には、変わり者が多いということも、 妙に納得できた(笑) […]

「卵のように軽やかに」(エリック・サティ)

  作曲家サティによる文章をまとめた一冊で、 邦訳は、サティ研究の第一人者である、秋山邦晴。 僕にとっては、ドビュッシーやラヴェルよりも、 サティこそが、もっとも「フランス音楽」ぽいのであって、 それは絵画の世界では、 セザンヌやモネよりもロートレックがそうであるのと同じである。 サティという人は、詩人なのだろう。 彼の中の詩情や思想を、 音符の形で表現するのか、文章の形で表現するのか、 […]

「寺田寅彦 わが師の追想」(中谷 宇吉郎)

  寺田寅彦は好きで、著作を随分と読んだが、 今回、その弟子による師の言動の記録を読んだことで、 寺田ワールドの魅力がさらに深まった気がする。 一流の学者になってしまうと、 見向きもしなくなるような事象について、 鋭い洞察力で敢えて切り込んでいったのが、 科学者としての寺田寅彦。 そしてそれを、平易で魅了的な文章で描いたのが、 文筆家としての吉村冬彦。 弟子である中谷宇吉郎も、 師と同じ […]

「日本の居酒屋文化」(マイク・モラスキー)

「飲み屋」を分類し、 その中で特に、「居酒屋」とは何か、 どうあるべきか、どのように選ぶのがよいか、 について、自由に語られた本である。 著者が外国人のせいもあるかもしれないが、 居酒屋とはかくあるべき、というステレオタイプが少々強い気がする。 各々が各々の酒を、マイペースで楽しむことが許される、 それが居酒屋の良さだと思う。 ただ我々日本人は、居酒屋という形式がごく当たり前であるがゆえに、 その […]

「身体巡礼 ドイツ・オーストリア・チェコ編」(養老 孟司)

  以前の仕事の関係で、養老先生の本はすべて読んでいたので、 今回、新作が出たということで買ってみた。 相変わらずの「養老節」というか、 シニカルな言い回しの中に、とてつもない真実があるというような、 それでいて文章は極めて平易、 他の人には真似できない、独特のリズムをもった文章である。 海外の墓地を巡り歩き、 解剖学者の視点から、生と死、心と身体について語り、 そこからさらには、文化論 […]

随筆集「地を泳ぐ」(藤田 嗣治)

芸術家の作品について、もっと理解を深めるためには、 ヘンにフィルターのかかった評論や自叙伝よりも、 当人の書いた文章、できればフィクションではないもの、 を読むのが一番だと思っている。 藤田嗣治の絵に混在する、あの独特な鋭さと柔らかさ、 その源はどこにあるのかを考えるとき、 本人の手によるこの随筆集は、とても参考になる。 都市論、芸術論、女性論、文明論、戦時中の思い出、 おそらく気楽に書かれたもの […]

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