小説

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「ソラリス」(スタニスワフ・レム)

  タルコフスキーとソダーバーグの映画は観ていたのだけれど、原作は全然違うことを知った。 映画版の方は、人間の内面とか人間関係とか、 精神的な部分に焦点を当てていたように覚えているけれども、 原作は、そのものずばり、生命としての人間は何か、 もっといえば、生命とは何か、 というテーマに切り込んだもので、 であればこそ、系外惑星での生命体とのコンタクトという、 王道SFの形式を採ったのも納 […]

「阿Q正伝・狂人日記 他十二篇」(魯 迅)

  いわゆる『吶喊』と呼ばれる、魯迅の短編集。 中国近代文学を代表する作家ではあるが、 教科書に載っているイメージが強く、 そういう純文学的なものはめっきり読まなくなっていた。 ただ最近、「食人」について調べる中で、 『狂人日記』が食人をテーマにしているということを知り、 急に読みたくなったというわけ。 基本的には、古臭いというか、説教臭いというか、 お世辞にも面白いとは言えないものが多 […]

「幻の女」(ウイリアム・アイリッシュ)

年末にたまたま本屋で目に留まって買ったのだけれど、 ミステリー小説なんて読むのは、 記憶にないぐらい久しぶりかもしれない。 このジャンルにおける不朽の古典名作らしいので、 今更読みました、なんてのは気が引けるのも事実だが、 読んで後悔はしなかった。 主人公の死刑執行日から遡って、 タイムリミットの中で犯人捜しが行われる、 そして真犯人は実に意外な人だった、 と書くといかにも陳腐なようではあるが、 […]

「あなたの人生の物語」(テッド・チャン)

映画を観て、その原作を読みたいと思うことはほとんどないが、「メッセージ」だけは違った。 その原作である「あなたの人生の物語」を含めた、 同一作者による8つの中短編が収められているのが本書。 どの作品も深い科学的な知識に支えられた、 真の意味での「SF」といえるものだが、 やはりタイトル作品は映画を観たこともあり、 出色の出来映えだと思われる。 小説を映画化するについては、原作ファンからの賛否両論の […]

「富士」(武田 泰淳)

  武田泰淳の作品は20代の頃何作か読んだきりで、 その後特に興味もなかったのだが、 この『富士』という超大作があると知り、 怖いもの見たさ半分で読んでみた。 文庫本で600ページを超えるわけだから、 力作であることは間違いないが、 お世辞にも良作であるとはいえない。 精神病院を舞台にして、研修医である「私」と、 その患者たちとの関係を通じて、 人間ってものは、結局肉体によってしか生きら […]

「御馳走帖」(内田 百間)

  急に湧いてくる、百間先生熱。 この「御馳走帖」は、 たとえば何とか魯山人が書くような、グルメエッセイではない。 時には文句を言い、時には仲間と楽しみながら、 「自分なりの御馳走」を楽しむという、まさに百間ワールドの真骨頂。 だから食すもの自体は、焼き豆腐でも焼き油揚げでも、 なんでもそれは、「御馳走」となる。 いくつか面白かったものを紹介すると、 百間先生は毎朝「英字の形をしたビスケ […]

「大貧帳」(内田 百間)

  百間先生の「カネ」絡みの短編を集めた一冊。 「百鬼園随筆」などで読んだことあるものも多かったけれど、 こうしてあらためて、「カネ」をテーマにした文章をまとめて読むことで、 百間先生の面白さが再認識できる。 中公文庫、good jobである。 自分も会社を経営していたころは、 金策に困り、何か月も自分の給料を払えない時期があって、 今だから言うけれど、家賃を滞納したり、 買掛金の期限を […]

「山月記・李陵」(中島 敦)

  久しぶりに小説でも読もうと思って、 「本能的に」選んだのが中島敦だった。 思えば中学2~3年の頃、 文学少年だった自分は、 当時開成中学で漢文を教えていたH先生に声を掛けられ、 文芸部なるものを作り、 H先生に題材として提示されたのが、 中島敦の「山月記」と「悟浄出世」だった。 まだ少年の頃ゆえ、いくら文学作品が好きだったとは言っても、 海外文学ではヘッセとかトーマス・マンとか、 日 […]

「天体嗜好症-一千一秒物語」(稲垣 足穂)

  稲垣足穂の著作の中から、星や空に関するものを集めた小品集。 僕がタルホにハマったのは、中二~高一ぐらいのときで、 そのときの感覚を懐かしみながらこの本を手に取ってみたのだけれども、 やはり「一千一秒物語」あたりは、 オッサンになってすっかり錆びついてしまった僕の感受性には、 少々キツイ。 逆に、「僕の”ユリーカ”」のような、天体に関する学術的文章なんかは、 ち […]

「続 百鬼園随筆」(内田 百間)

  前作の「百鬼園随筆」は売れに売れたらしく、 百間先生の借金も随分減っただろうと思われるが、 これはその続編である。 続編といっても、小説ではないから、 別にどっちが先でどっちが後でも構わないわけで、 読みたい方から読めば、それでいい。 ただ、この「続」は、なかなか一般受けはしないだろうという感じで、 すでに百間先生の文章の面白みを分かった人でなければ、 正直、退屈してしまうだろう。 […]

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