文学

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「『菅原伝授手習鑑』精読」(犬丸 治)

  最初に習った浄瑠璃が「寺入り」で、 前回の演奏会(次の5月も)が「東天紅」で、 そうでなくとも、浄瑠璃をやるのであれば、 「菅原伝授」の世界を理解しておくのは必須。 副題に「歌舞伎と天皇」と付いていたり、 松王と八瀬童子を結び付けようとしたり、 作品そのものではない別のテーマに触れようとしているのだが、 幸いにも(?)その部分の記述はあまり上手くなく、 結果として、作品そのものの詳し […]

「ローマ字日記」(石川 啄木)

  多くの人にとって、啄木は、 「清貧で夭逝した天才歌人」 というイメージが強いのだろうが、 それは間違えている、というのはこの日記を読めば分かる。 かくいう自分も、 少年時代こそ、啄木の作風に憧れた時期もあったが、 大人になってからは、例えば有名な、 働けど働けど なお我が暮らし 楽にならざり ぢっと手を見る の短歌などは、 「アホか、働き方が悪いんじゃ」ぐらいにしか感じなくなり、 そ […]

「日記で読む日本文化史」(鈴木 貞美)

  テーマ自体はすごく興味深いのだけれど、 ただ、さすがに新書で語り尽くせるような内容ではない。 古典の引用が少ない割に、 明治以降の、一般読者から投稿された日記を長々と紹介し、 それぞれに「文末は『~た』が目立つ」とか、 どうでもいい部分にこだわりを見せるなど、 ちょっとバランス的にイマイチな気もした。 現代は誰もがtwitterやblogで日記(に近いもの)を書く時代で、 それらを読 […]

「太平記(六)」(岩波文庫版)

  「南総里見八犬伝」「源氏物語」、 そしてこの「太平記」は、長さ、スケールにおいて、 我が国の古典文学の中で群を遙かに抜いている。 「源氏」は学生時代に読破した。 「太平記」はようやくこれで読み終わったから、 残るは「八犬伝」。 これは老後の楽しみにとっておこうと思う。 岩波文庫版での完結となるこの第六冊は、 第三十七巻~第四十巻を収める。 一応は史実に基づくという立場をとっているため […]

「日本の一文 30選」(中村 明)

  文豪の手になる作品の中から、これぞという一文ずつを抜き出し、 どこがすぐれているのか、なぜ感動するのかを、 分析するという本。 分析そのものは、ワインの味の講釈を聞くようなもので、 まぁそんな気もするし、そんなでもない気もする。 それよりも、著者が作家たちの自宅でインタビューをしたときの回想の方が、 意外な発見もあって興味深い。 特に井伏鱒二あたりは、小説音痴な僕は顔すら思い浮かばな […]

「日本幻想文学史」(須永 朝彦)

  この著者にとっては、 リアリティを欠いたものはすべて「幻想」に思えるようで、 ゆえにこの本は、「日本幻想文学史」というよりも、 「日本文学史」になってしまっている。 特に江戸以前の古典の物語なんて、 現代的な意味でのリアリズムを備えたものなどないのだから、 「幻想」の定義をしっかりしてから語り始めないと、 「古事記」も「日本書紀」も「源氏物語」も「太平記」も、 みんな全部、「幻想文学 […]

「太平記(五)」(岩波文庫版)

  この四月に出た岩波文庫版の最新刊で、 第三十~三十六巻を収録。 あとは十月に(六)が出れば、完結となる。 さすがにここまで来ると、 物語としてはマンネリ化というか、 まぁ、そもそも前半で楠木正成や新田義貞といった、大物武将が死亡してしまうため、 後半はどうしても小粒感が否めない。 今回の(五)では、義貞や正成の息子たちが活躍はするのだが、 人物としてのスケールというか魅力に乏しいので […]

「おくのほそ道を旅しよう」(田辺 聖子)

  1989年に出た本の復刻版である。 なので、この本で描かれる東北地方の様子は、 大震災の被害を受ける前のもの。 それはさておき、この本はちょっと期待外れ。 田辺聖子さんということでハードルを上げ過ぎたせいもあるのだけれど、 ダメだと思われる理由がいくつかある。 まずは、「奥の細道」を線ではなく、 点でとらえようとしていること。 「奥の細道」は、芭蕉が各地を訪れて句を詠んだという意味で […]

「桜は本当に美しいのか」(水原 紫苑)

  僕は桜よりも梅が好きだ。 咲き誇る桜の「大雑把な美」よりも、 小ぶりな花と香りを楽しめる梅の「繊細な美」の方が、 しっくりくる。 元来、日本人にとっての「花」は梅の花であって、 桜を愛でるという風習は、 王朝貴族にとっての形骸化された美意識であり、 理想であり幻想であった。 ・・・・・・ ・・・・ ということを、この本でも語ってくれるのかと思いきや、 まったくの期待外れ。 万葉から現 […]

「太平記(四)」(岩波文庫版)

  第四冊は、第二十二巻~第二十九巻を収録。 序盤で、新田義貞の舎弟、脇屋義助の病没が描かれ、 楠正成の息子、正行も戦死。 高師直・師泰兄弟が権勢を振るう北朝方は、 高兄弟と対立した足利尊氏の弟・直義がついに離反し、 南朝側に降伏。 やがて高一族の命運も尽きて、一族皆殺しにされる、 というのが今回の各ヤマ場である。 あらすじはさておき、前から少し気になってはいたのだけれど、 「太平記」に […]

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