社会・文化

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「木偶の舞う夢」(おおえまさのり)

  現在の国立文楽劇場にあるほとんどの首(かしら)を制作した、 文楽の人形師といえば、まさに大江巳之助のこと。 彼の一生や、その仕事観について、 息子さんが綴ったエッセイ。 文楽といえば、 三味線、太夫、人形遣いのいわゆる三業からなるわけであるが、 裏方ともいえる、人形師にスポットが当たることはほとんどない。 けれども、容易に想像できる通り、 すぐれた人形師によるすぐれた人形があるからこ […]

「生命潮流」(ライアル・ワトソン)

異色の動物学者の手による本書は、 1980年代の初めに話題となり、欧米で版を重ねたそうだ。 500ページ近くにおよぶ大作で、 内容的にも、生物学・遺伝学を中心に、 量子論、天体物理学、進化学、心理学、社会学、 言語学、文学・・・と、 幅広いジャンルに渡る知識と考察が展開されており、 非常に読み応えのあるものとなっている。 こんな本が、古本屋で100円で叩き売りされているのを偶然に見つけるとは、 読 […]

「思考の整理学」(外山 滋比古)

  帯に「東大・京大で1番読まれた本」とデカデカと書かれていて、 世間的にもそれなりに知られているらしい。 どれどれと思って読んでみたのだが、 何てことはない、良い意味でいつもの外山流。 この本で書かれている以上に、 鋭いことや含蓄深いことは、 他にもいくらでも書いているのになと、 今更ながら、マスコミ的な売出し方にギモンではあった。 しかしまぁ、外山滋比古のエッセイはいつ読んでも面白い […]

「文楽への道」(中西 敬二郎)

言うまでもなく、文楽とは、 太夫、人形、三味線の三位一体による芸である。 けれど、その三つについてバランスよく解説し、 かつ、名作や名演の紹介をも備えた入門書は、案外少ない気がする。 この「文楽への道」は、太夫・三味線については必要最低限の説明にとどめ、 一般になかなか知る機会のない人形について、 特にかしらや人形使いの所作を、 図を用いて念入りに解説しているところに特徴がある。 普段、素浄瑠璃に […]

「性・差別・民俗」(赤松 啓介)

  1909年兵庫県に生まれ、左翼運動に身を投じ、治安維持法により投獄された、 反体制の民俗学者・赤松啓介。 当然、彼の立場は「反・柳田民俗学」であり、 「赤松民俗学の特色は、百姓どものどてっ腹へ匕首を突っ込んで、これでもか、これでもかと掻き廻し、 ドロドロと血を吹き出させる土佐『絵金』の世界である」 という彼自身の言葉が、その何たるかを適確に表現している。 僕は民俗学専攻ではないので、 […]

「検索禁止」(長江 俊和)

  いわゆる「~するな」型のタブー形式をとることで、 逆に読者の興味を煽ろうということなのだろうが、 内容的には、どこにでもあるオカルト本。 コリン・ウィルソン的残酷事件簿に、 都市伝説や、自らの執筆本の宣伝をも含め、 読んでどうなるというものでもないが、ヒマつぶしにはなった。 都市化・文明化が進むにつれ、 正統な(?)「怪談」は肩身が狭くなりつつあるけれども、 それとは若干性質の異なる […]

「現代オカルトの根源」(大田 俊寛)

  ダーウィンの進化論が、生物の構造について述べたのに対し、 ヒトの内面の進化を語ったのが「霊性進化論」。 ブラヴァツキー夫人による神智学から、 エドガー・ケイシー、UFOでおなじみのアダムスキーやナチスの思想を経て、 現代日本のオウム真理教や幸福の科学といった信仰宗教まで、 霊性進化論がどのようにして受け継がれてきたかを、 宗教学者が解説した本。 特に最初の神智学についての説明と、 最 […]

「最古の文字なのか?-氷河期の洞窟に残された32の記号の謎を解く」(ジェネビーブ・ボン・ペッツィンガー)

  本というものは、 学術書であれ、小説であれ、「本」ならば、 一本の筋がなくてはならないと思っている。 一本のメインストリートがまずあって、 あとは途中で休むもよし、 脇道を作ってまだ戻ってくるのもよし、 ただ、メインストリートだけは不可欠であり、 それがなければ雑然とした事象の羅列で終わってしまう。 それは僕のこだわりでもなんでもなく、 暗黙のルールというか礼儀作法のようなものであっ […]

埋葬と捕食について

電車の窓からふと外を見ると、 住宅街の真ん中に墓地があることも、最近では珍しいことではなくなった。 (というか、墓地の周りに住宅地が浸食してきたと言う方が正しいか) けれども、それが「神聖なるもの」であれ、「穢れ」であれ、 やはり死と我々の日常との間には、厳然たる境界線があることには疑いがない。 それが証拠に、いくら親しい人ではあっても、 その人の亡骸を、家の庭やベランダに葬ろうなどと考える人は皆 […]

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