音楽

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「新内の情景」(富士松 松栄太夫)

浄瑠璃を楽しむには、江戸時代の文化・風俗はもちろん、 地理や歴史の知識があった方が、断然有利だ。 特に新内節は宮薗節などと同様、素浄瑠璃、 つまり視覚ではなく、耳だけを頼りに鑑賞するものであるから、 ある程度のコンテクストの理解は必須となる。 第一章の「隅田川と新内節」では、深川を中心とした風俗を語りつつ、 『明烏』や『蘭蝶』の舞台を辿る。 第二章の「幻の新内流し」では、 今となっては演奏会でもあ […]

「三味線の運指法とサワリ現象について」(中能島 欣一)

最近は、ネットで学術論文を検索、閲覧できる。 有料のものもあるが、中には無料で、興味深いモノに出くわすことがある。 この「三味線の運指法とサワリ現象について」は、 おそらく中能島欣一が、おそらく東京芸大の教官だったときに書かれた論文で、 何と言っても、超一流の奏者によって書かれたという点で、 他の解説書と比べても格段に説得力がある。 特に、勘所を押さえる際の「ズレ」をどこまで許容すべきか、というく […]

「三味線の美学と芸大邦楽科誕生秘話」(吉川 英史)

前半は、三味線の歴史や構造についての考察。 文献資料等も幅広く参照されていて、 これだけ読めば、楽器としての三味線の知識はほぼ網羅される。 (逆にいえば、これしか分かっていない、ともいえる。) ジャンルを問わず、三味線を弾く人は必読の書だと思う。 後半は、終戦直後、東京芸大が出来た際に、 当初は邦楽科は設置されないということだったのだが、 筆者を含めた邦楽の教官たちが猛反対をし、 見事に設置させる […]

「日本の音」(小泉 文夫)

小泉文夫さんの著作の魅力は、単なる音楽論に終始するのではなく、 更に深く、芸術論・文化論にまで敷衍できる内容をもっていることだと思う。 この本の中でも、西洋と東洋との比較、そして東洋の中の日本、 というトップダウン式の思考で、日本音楽の特徴を論じている。 われわれ現代人は、日本の古典音楽にどのように接するべきなのか、 について、深く考えさせてくれる。 これを読まずには、音楽のことなど語れない良書。

「幻の楽器 ヴィオラ・アルタ物語」(平野 真敏)

19世紀後半、ドイツのリッター教授によって作られ、 ワーグナーにも愛されたという大型のヴィオラ、「ヴィオラ・アルタ」。 現在はヴィオラやヴァイオリンで弾かれている曲でも、 実は本来はヴィオラ・アルタ向けの曲だということも、結構あるらしい。 この本を読むまで、僕はこの楽器の存在を知らなかった。 プロのヴィオラ奏者であるこの本の著者ですら知らなかったのだから、 それも仕方あるまい。 渋谷の弦楽器店で、 […]

「倍音 音・ことば・身体の文化誌」(中村 明一)

「倍音」をベースに、音楽や言語、 さらには文化一般までをも論じた本。 ちょっとこじつけすぎかな、、と思える箇所もあるが、 倍音からみた文化論という視点が斬新で、 さすがは、尺八奏者の著者ならではのものだ。 最近では西洋音楽でも倍音の効果は注目されているが、 基本的には、西洋音楽は、倍音の存在に目をつむることで、 発展してきた。 ただ倍音が鳴っているときの、あのなんとも言えない感覚は、 西洋楽器でも […]

「音律と音階の科学」(小方 厚)

調整とか平均律とか、 今まで「なんとなく」理解していことが、 科学的なアプローチで論理的に説明されていたので、 非常に助かった。 ブルーバックスだからといってナメていたが、 内容はなかなか簡単ではなかった。 細かい話はさておき、 音楽の理論というのは西洋で生まれたものだから、 やはり西洋音楽がベースになっているのだと、痛感。 特に、前からの個人的な疑問である、 「なぜ12音平均律なのか」という点に […]

「音楽の根源にあるもの」(小泉 文夫)

久々に、小泉文夫さんの著作を読んでみた。 最近、音楽について、あれこれと考えることが多かったので、 原点回帰というか、まさに「根源にあるもの」について、 何かしらヒントがあるのではないか、という思いがあった。 結果的は、、、読んで正解!! かなり僕の頭の中は、スッキリした。 特に、他の分野の専門家たちとの対談においては、 音楽と脳の関係、音楽と言葉の関係など、 興味が尽きなかった。 何よりも、語り […]

「二十世紀の10大ピアニスト」(中川 右介)

著者が選んだ、20世紀の偉大なるピアニスト10人の伝記である。 紹介されているのは、 ラフマニノフ/コルトー/シュナーベル/バックハウス/ルービンシュタイン/アラウ/ホロヴィッツ/ショスタコーヴィチ/リヒテル/グールド の10人。 すでに故人であることが条件だというから、この選出には、個人的には、それほど異論はない。 ほぼ同じ時代を生きたわけなので、 当然ながらそれぞれのエピソードは交差する。 だ […]

「マーラーと世紀末ウィーン」(渡辺 裕)

マーラーの曲は、作曲家の特異な(むしろ、病的、な)個性と、 文化史上の特殊な背景との両要素が明確な形で内部で脈打っているという点でとても魅力的である。 音楽史上では、絵画史上においてエゴン・シーレがそうであるように、 未だに「異端」扱いされるマーラーではあるが、それはなぜなのか、如何なる時代背景がそうさせたのか、 というテーマに迫ろうしたのが本書である。 型破りでありながらも、シンフォニーという形 […]

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