「『半七の見た江戸』~「江戸名所図会」でたどる半七捕物帳」

「『半七の見た江戸』~「江戸名所図会」でたどる半七捕物帳」

『半七の見た江戸』~「江戸名所図会」でたどる半七捕物帳
綺堂が、かの「シャーロックホームズ」
シリーズに触発されて「半七」シリーズを書いたことは有名だけれども、
ホームズ中に描かれたロンドンの風景の大部分が
今でもそのまま残っているのに対し、
半七が見であろう江戸の風景、そして地名でさえも、現在残っているものはほとんどない。

「半七」全編に登場する江戸の地名を、ひとつひとつ図絵で紹介し、解説を付したのこの本だ。

かつて「半七」を読んだときにはあまり気にも留めなかった地名の1つ1つを、頭の中の地図に置いていくように読んでいくと、
まるで自分も江戸の町にタイムトラベルしたような気分になって、

今にも半七に、
「おい、おめぇさん、見馴れねぇ顔だな。どっから来たンだい?」
なんて話しかけられそうな気さえしてくる。

土地を1つ1つ取り上げて解説する、というのは、実は古事記・日本書紀あたりの「土地誉め」に起源があると思っているのだが、

その土地にはその土地なりの、敬うべき文化があり、風俗があり、人がいるということを、古代の人も、半七の時代の人も、そして綺堂も、本能的に分かっていたのだろう。

    それは、一律的な「コンクリートジャングル」になってしまった
   現代の東京にも、わずかながら残っていると思うし、そうであると信じたい。

両国の隅田川沿いあたりを歩きながら、西岸には猥雑な見世物小屋がいっぱいあったんだな・・なんて考えていれば、あっという間に永代橋につく。

かつて深川八幡の祭礼のときにこの永代橋が落ちたときは、1500人もの死者を出したらしい。
それは「半七」にもエピソードとして出てくる。

今では揺すろうが飛び跳ねようが、とても落ちそうもない頑丈な永代橋を渡りながら、そういうことを思ってあげることで、1500人の魂は成仏できるのかもしれない。

土地を敬うということは、そういうことなんだろう。

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