「連鎖する大地震」(遠田 晋次)

 

地震のメカニズムについて、特に東日本大震災を例にとって、
非常に分かりやすく説明してくれている。

地震とは、ニュートン力学的なものではなくて、
量子力学的に考えなくてならない、という主張なんかは、
なるほど、と思わせてくれるし、

関東平野の直下には、未発見のプレートが存在しているという、
「関東フラグメント仮説」についても、
かなり説得力があるような気がする。

あまり革新的な学説が出てこないこの分野にあって、
旧説にとらわれない大胆な発想を行っているのは、
好感がもてる。

実は、東日本大震災が起きる前、
東北地方の地殻は、説明できない動きをしていて、
地震学者の多くは、それを見て見ぬフリをしていたのだという。

実際に震災が起きてみて、その謎が解けたということなのだが、
このようなエピソードは、
閉塞感に覆われている日本の地震学の現状を表しているのではないだろうか。

ちなみに、上下変動については、いまだに謎のまま残されているということなので、
また地震が起きてから「やっぱり」とならないように、
きちんと追究されることを、願うのみである。