「記号論」(吉田 夏彦)

 

数学でいえば、インテグラルやシグマ、
÷や+、あるいは方程式のxやyといったもの、

音楽でいえば、フォルテやト音記号、
あるいは音符そのもの、

敷衍するならば漢字やアルファベットなどの文字そのもの、

これらはすべて「記号」である。

つまり記号というものは、
「何か」を「意味」し、「伝達」するものであるから、
コミュニケーション手段のひとつともいえる。

だから「記号論」なるものが、
コミュニケーション理論や社会論の性質を帯びるのは、
当然といえば当然だ。

この本は、記号によるコミュニケーションについて、
そして、記号が世界と私たちをどのようにつなげるかについて述べたもので、

「ガチガチの記号論」というよりも、
どちらかといえば哲学書のような感覚で読める。

地図記号でも交通標識でも何でもいい。

記号の担う役割について、
ふと気になったときに手にする入門書としてはちょうどいい気がした。