エッセイ

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「中谷宇吉郎随筆集 」(樋口 敬二 編)

  雪の研究で知られる著者による、 主に科学に関するエッセイ集。 ジャンルとしては師の寺田寅彦と被るが、 寺田が大局から柔らかく論じる形式であるのに対して、 中谷は最初からストレートに核心に迫る、という印象。 戦時中に書かれた作品も多く、 あの大戦下で科学者がどのような思考をしていたのか、 ということを探れるという意味でも興味深い。 科学関連のみならず、自身の体験や昔日の思い出などを語っ […]

「大人の科学」(南 伸坊)

  著者曰く、この本の想定読者は、 「(自分を)コドモと思っていないコドモ」あるいは、 「(自分を)大人と思っていない大人」 ということらしい。 要するに、どっち付かずの中途半端。 「色気の科学」(「男と女」「ホルモン」「血液」など) 「生死の科学」(「死体」「解剖」「寿命」など) 「話題の科学」(「人工現実」「進化」「サリン」など) 「脳内の科学」(「記憶」「睡眠」「表情」など) とい […]

「涼しい脳味噌」(養老 孟司)

  養老先生の1990年前後のエッセイを集めた本。 前半は、解剖医の立場から「心と身体」の問題を述べたものが中心となっている。 英語で死体のことを「body」と表現することを初めて知ったとき、 ものすごく違和感があったことをいまだに覚えているが、 日本人と西洋人に「身体観」の違いについて書かれている箇所を読んだとき、 あぁ、なるほどと思えた。 要するに日本人は、「心」と「体」を切り離して […]

「蔵書一代」(紀田 順一郎)

副題は、「なぜ蔵書は増え、そして散逸するのか」。 本好きであれば考えざるを得ない、 蔵書をいかに処分するのか、 蔵書にはどのような意味があるのか、 について語った本である。 割と軽めな文庫小説などを読まれているのであれば、 ある程度たまった本を古書店で売ることは、 それほど悩むことではないのかもしれない。 けれど、今後の趣味人生において参考となるだろう本や、 そうでなくても、一冊何千円もしたものに […]

「日本の酒」(坂口 謹一郎)

  名著と評判の当書を、ようやく読んでみた。 日本酒の歴史から始まり、 他の酒との比較、製法、そして科学的分析、 著書の酒に対する愛が溢れた、確かに名著だった。 書かれている内容はそれほど平易ではなく、 特に菌や製法の話になると、 専門知識がないとちょっと難しい部分も多いのであるが、 それでもスラスラと読ませてしまうのは、 著者曰く、名酒とは、 「喉にさわりなく、水の如く飲める酒」 であ […]

「今夜もひとり居酒屋」(池内 紀)

  よく西洋かぶれの人が、 「日本にはカフェの文化がない」と嘆いたものだが、 代わりに居酒屋文化がある。 居酒屋というのは不思議な空間で、 仲間と訪れてもよいし、 「おやじの聖地」として一人でちびちびやるのも、 この上ない楽しみだったりする。 カウンターの隅っこで、本を片手に一杯、 というのは、最高の贅沢。 そういうときに読むのが、 酒や居酒屋に関する本であれば、なおさらである。 そこに […]

「書を読んで羊を失う」(鶴ヶ谷 真一)

  古今東西の「書」(book)について、自由気儘に綴ったエッセイ。 読書という行為は、 もちろん知識を得たいという欲求からの場合が多いのだが、 気が付いたら読書それ自身が目的になっているというか、 たとえるならば、 眠るために羊の数を数えていたら、 いつのまにか羊を数えることに夢中になっていた、みたいな、 そんな「中毒性」が読書にはある。 (ちなみに本のタイトルにある「羊」は、 『荘子 […]

「本の中の世界」(湯川 秀樹)

  本当の知識人・教養人となると、理系も文系ももはや関係がない。 特に、一流の科学者の書いた文章には、 含蓄のあるものが多いし、 寺田寅彦や中谷宇吉郎の例を出すまでもなく、 科学と文学の両分野で著名になった人物もいる。 湯川秀樹は言わずと知れた、 素粒子物理学の分野でノーベル賞を取った超一流の科学者であるが、 その湯川が愛読した文学書についての、 感想やエピソードを集めたのがこの本である […]

「厚黒学」(李 宗吾)

著者の李宗吾は、中国四川省の出身で、 科挙試験に次第して官吏となったが、 腐敗した環境に愛想を尽かして隠遁し、 もっぱら執筆にふけったという、「いかにも」な人。 この書は、清朝末期に刊行され瞬く間にベストセラーとなり、 日本では「厚黒学」は「ずぶとく はらぐろい がく」と訳されている。 タイトルどおり、大物になるためには、ヤワな生き方ではダメで、 何事にも、図太く腹黒く、したたかに物事に当たるべし […]

「酒縁歳時記」(佐々木 久子)

  お酒を仲立ちとした、 人、料理、土地などとの「縁」を描いたエッセイ。 決して、酒自体のことを詳しく書いているわけではないし、 しかもそれが飲んだことのない銘柄にもかかわらず、 読むことでその味が舌の上に蘇るようで、 一流の文章とはこういうものかと、とても感心させられた。 男性の書き手だったら、もっと理屈っぽくなっていただろう。 女性で、しかも俳人でもあるこの作者であるからこそ、 鋭い […]

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