エッセイ

4/4ページ

「監獄ラッパー B.I.G.JOE」(B.I.G.JOE)

ヘロインを密輸してオーストラリアの刑務所に6年投獄された、 日本人ラッパーの自叙伝的ドキュメント、 というと、救いようのないワルによる、 自己正当化のキレイごとの羅列、 みたいなのを想像していたが、 いい意味で期待を裏切られた。 日本語の通じない海外の監獄での6年間を通じて、 人生とは、音楽とは、犯罪とは、というものを真摯に語る姿勢は潔いし、 感動的ですらある。 これが強盗殺人犯とかであれば、問題 […]

「寺田寅彦は忘れた頃にやって来る」(松本 哉)

寺田寅彦の名言「天災は忘れた頃来る」をもじったタイトルの本で、 寅彦の魅力をコンパクトにまとめている。 昨年の地震があってから、寅彦関連の本が随分出たようだが、 一般的な知名度はまだまだ低い。 物理学を一般的に説明した人物として、 何となくファラデーと重なるところがあると思う。 この人や芥川、内田百閒といった弟子をもっていた夏目漱石という人は、 やはり偉大だったのだと、感心させられる。 既に寅彦の […]

「日本文化私観」(坂口 安吾)

坂口安吾のエッセイ集。 安吾を読むのは20年以上ぶりかもしれないが、10代の僕が愛読した作家のひとりだ。 文化について、政治について、戦争について、安吾のエッセイは今読んでも新鮮である。 いや、今だからこそまさに読まなくてはならないのかもしれない。 思えば昨今、安吾のように骨太に語れる文学者はいなくなった。 饒舌な評論家や、脳味噌の欠落しているマスコミばかりが目立ち、 文学者とは女々しい小説を書い […]

「柿の種」(寺田寅彦)

仕事に疲れて、何となく本屋に入ったときに、何となく手に取ったのがこの本。 物理学者でありながら、詩人・俳人でもある寺田寅彦のエッセイ。 夏目漱石の作品は、昔ほど関心はできないのだけれども、芥川をはじめ、百聞、森田草平、そしてこの寺田寅彦らを門下から輩出しているあたり、 人間関係には恵まれた人だったに違いない。 さて、この本の中の、関東大震災直後に書かれた一節に、「日本は地震国なのだから、もうちょっ […]

「場末の酒場、ひとり飲み」(藤木TDC)

新書は、良い。 文庫本で古典を読んだり、ハードカバーでデザインや科学関連の本を読んだりするのも好きだけれど、やはり新書を片手に酒をちびちびやるのが、この上ない快楽だ。 と思ったら、「場末の酒場、ひとり飲み」なんて本を見つけた。 いきなり酒場の紹介から入るわけではなく、そもそも場末とは何かという考察から始まるあたり、なかなか礼儀正しい。 そして場末の誕生にもいくつかのパターンがあることに言及し、いよ […]

「東京見おさめレクイエム」(横尾忠則)

東京の地名とそれにまつわる有名人の思い出とを、 横尾節で語る短編エッセイである。 この類のエッセイは、大概が「土地褒め」だけで、どれもこれも似たような内容になるのだけれども、 そこは流石の横尾忠則。土地だけではなくむしろ人物の思い出がメインになっているので、読み応えがある。 例えば、こんなカンジ。 江戸川乱歩と銀座 夏目漱石と護国寺 泉鏡花と浅草 葛飾北斎と柳島妙見 太宰治と吉祥寺 水上勉と成城 […]

1 4