文学

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「表現としての俳諧―芭蕉・蕪村」(堀切 実)

  韻文の解釈というものは、内容に偏りがちで、 主観的、そして時には感傷的になりがちではあるが、 それとは逆に、語句やレトリックにフォーカスを当てて、 あくまでも客観的に芭蕉・蕪村の句の解釈を試みた小論集。 俳句に対するこのようなアプローチ方法は、 別に珍しくも何ともないと思いながら読んだのだが、 巻末の解説に、これらが書かれた昭和60年前後においては、 このような解釈は斬新で、価値のあ […]

「荷風語録」(川本 三郎 編)

  永井荷風の作品を、「明治・大正」「戦前」「戦後」「『断腸亭日乗』の世界」に4分類し、 それぞれに描かれた「東京」について解説付きで鑑賞するという、 一風変わったアンソロジー。 東京からかつての江戸が消えていくのを惜しむだけではなく、 実際に深川や玉の井に足を運び、 そこに残る江戸の名残を克明に描写するという荷風のスタイルは、 平成も終わろうとする現代に読んでみても、 決して古臭さを感 […]

「全集を買うとしたらこの作家」ベスト10

第1位:寺田寅彦 第2位:内田百間 第3位:永井荷風 第4位:澁澤龍彦 第5位:岡本綺堂 第6位:坂口安吾 第7位:近松門左衛門 第8位:泉鏡花 第9位:小栗虫太郎 第10位:ジュール・ヴェルヌ 次点としては、種村季弘、井原西鶴、稲垣足穂あたりが続く。 夏目漱石、川端康成、芥川龍之介、夢野久作らは、もちろん好きな作家であるが、 少年時代からあまりにも読み過ぎていて、 いまさら全集を買うのがやや気恥 […]

「地獄の思想―日本精神の一系譜」(梅原 猛)

梅原猛というと、何かと物議を醸してきた印象があるけど。 この本の前半では、仏教において地獄をどのように解釈しているか、 そして後半では、日本文学の中に地獄がどのように表れているか、 が書かれている。 後半で採り上げられているのは、 『源氏物語』、『平家物語』、世阿弥、近松、宮沢賢治、太宰治。 うーーん、どれも単なる評論になっていて、 「地獄の思想」の解説にはなっていない、というのが正直な感想かな。 […]

「澁澤龍彦の記憶」(巖谷國士、養老孟司 他)

  僕の10代の頃の読書の対象といえば、 漱石や川端のような純文学がある一方で、 夢野久作や、そしてこの澁澤龍彦のような、 ある意味「異端」なものもあった。 まさに現代のプリニウスとも呼ぶべき、 古今東西のあらゆる事象に向けて好奇の眼を向ける澁澤作品。 なかでもやはり、最後の小説となった「高丘親王航海記」は、 純文学とか異端文学とかいう垣根を超えた(内容的には純文学であるが)、 奇跡的な […]

「仮名手本忠臣蔵」(上村 以和於)

  「忠臣蔵論」というとあまりにも広すぎるが、 あくまでも「仮名手本忠臣蔵」をベースに、 歌舞伎や浄瑠璃、あるいは数々の外伝、 そしてそこから派生した現代の小説等を比較分析し、 「仮名手本忠臣蔵」の世界を立体的に浮かび上がらせた評論。 いま「立体的」と言ったが、 「仮名手本忠臣蔵」は文学であると同時に、 文楽や歌舞伎といった3次元芸術を前提としたものであり、 また描かれた世界も、徳川と足 […]

「光速者」(埴谷 雄高)

  僕にとって2冊めの埴谷雄高体験。 一応、宇宙に関係のある著作を集めたものらしかったので、 これなら自分にも理解できるかも、、と思ったけど甘かった。 全体的に文章の抽象度が高く、 文学部出身のくせに、こういう香り高い(?)文学とは無縁で過ごしてきた自分には、 ちと理解に及ばない部分が多々ありすぎる。 でも、地球を超え、銀河を超え、 お隣のアンドロメダ銀河と我々の銀河との関係に思いを馳せ […]

「エロい昔ばなし研究」(下川 耿史)

  「エロい昔ばなし」というタイトルは、キャッチーではあるがややズレていて、 厳密には、「日本の文芸・文学作品にみられる性愛表現」とでもいおうか。 要するに、「浦島太郎」や「桃太郎」といったいわゆる「昔話」を、 エロ視点で捉えた、というわけではない。 内容は予想通りで特に驚くほどのことはないが、 今まで古典など見向きもしなかったような学生とかが、 これを機に(?)少しでも興味を持てるよう […]

「大伴家持」(藤井 一二)

  歌人ではなく、 政治家(官僚)としての家持に焦点を当てた本。 編年体で記されており、 何年に何をして、どんな歌を詠んだかということに、 さらりと触れていくスタイル。 家持が編纂に関わったとされる万葉集についても、 わずか7ページほどしか割かれておらず、 歌人としての家持を好きな人が読むと、 ちょっとがっかりする内容かもしれない。 でもまぁ、 長屋王の変とか、恵美押勝の乱とか、道鏡とか […]

「日本詩人選15 京極為兼」(土岐 善麿)

  藤原定家の息子に藤原為家がいて、 その3人の息子、為氏・為教・為相が、 それぞれ、二条家・京極家・冷泉家を名乗るようになり、 為兼は、上記為教の嫡男である。 藤原家の歌人といえば、かつて定家が、 「紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ」 という立場で、政治の表舞台からは一歩退いていた印象が強いが、 為兼は、上記藤原三家のドロドロとした争いに加え、 持明院統、大覚寺統の天皇家の対立や、鎌倉幕府との調整 […]

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