文学

2/11ページ

「大伴家持」(藤井 一二)

  歌人ではなく、 政治家(官僚)としての家持に焦点を当てた本。 編年体で記されており、 何年に何をして、どんな歌を詠んだかということに、 さらりと触れていくスタイル。 家持が編纂に関わったとされる万葉集についても、 わずか7ページほどしか割かれておらず、 歌人としての家持を好きな人が読むと、 ちょっとがっかりする内容かもしれない。 でもまぁ、 長屋王の変とか、恵美押勝の乱とか、道鏡とか […]

「日本詩人選15 京極為兼」(土岐 善麿)

  藤原定家の息子に藤原為家がいて、 その3人の息子、為氏・為教・為相が、 それぞれ、二条家・京極家・冷泉家を名乗るようになり、 為兼は、上記為教の嫡男である。 藤原家の歌人といえば、かつて定家が、 「紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ」 という立場で、政治の表舞台からは一歩退いていた印象が強いが、 為兼は、上記藤原三家のドロドロとした争いに加え、 持明院統、大覚寺統の天皇家の対立や、鎌倉幕府との調整 […]

「日本詩人選12 源実朝」(吉本 隆明)

  実朝という歌人に特に思い入れがあるわけではないが、 久々に吉本隆明が読みたくなり、 ちょうど古本屋で見かけたので即購入した。 ページの中ほどに、 美術館のチケットがしおり替わりに挟まっている。 国立西洋美術館の「ゴヤ展」。 日付スタンプを見ると、「46.12.7」とある。 さすがに1946年ということはないので、昭和46年であろうが、 それでも僕が生まれるより前である。 40年以上ぶ […]

「『菅原伝授手習鑑』精読」(犬丸 治)

  最初に習った浄瑠璃が「寺入り」で、 前回の演奏会(次の5月も)が「東天紅」で、 そうでなくとも、浄瑠璃をやるのであれば、 「菅原伝授」の世界を理解しておくのは必須。 副題に「歌舞伎と天皇」と付いていたり、 松王と八瀬童子を結び付けようとしたり、 作品そのものではない別のテーマに触れようとしているのだが、 幸いにも(?)その部分の記述はあまり上手くなく、 結果として、作品そのものの詳し […]

「ローマ字日記」(石川 啄木)

  多くの人にとって、啄木は、 「清貧で夭逝した天才歌人」 というイメージが強いのだろうが、 それは間違えている、というのはこの日記を読めば分かる。 かくいう自分も、 少年時代こそ、啄木の作風に憧れた時期もあったが、 大人になってからは、例えば有名な、 働けど働けど なお我が暮らし 楽にならざり ぢっと手を見る の短歌などは、 「アホか、働き方が悪いんじゃ」ぐらいにしか感じなくなり、 そ […]

「日記で読む日本文化史」(鈴木 貞美)

  テーマ自体はすごく興味深いのだけれど、 ただ、さすがに新書で語り尽くせるような内容ではない。 古典の引用が少ない割に、 明治以降の、一般読者から投稿された日記を長々と紹介し、 それぞれに「文末は『~た』が目立つ」とか、 どうでもいい部分にこだわりを見せるなど、 ちょっとバランス的にイマイチな気もした。 現代は誰もがtwitterやblogで日記(に近いもの)を書く時代で、 それらを読 […]

「太平記(六)」(岩波文庫版)

  「南総里見八犬伝」「源氏物語」、 そしてこの「太平記」は、長さ、スケールにおいて、 我が国の古典文学の中で群を遙かに抜いている。 「源氏」は学生時代に読破した。 「太平記」はようやくこれで読み終わったから、 残るは「八犬伝」。 これは老後の楽しみにとっておこうと思う。 岩波文庫版での完結となるこの第六冊は、 第三十七巻~第四十巻を収める。 一応は史実に基づくという立場をとっているため […]

「日本の一文 30選」(中村 明)

  文豪の手になる作品の中から、これぞという一文ずつを抜き出し、 どこがすぐれているのか、なぜ感動するのかを、 分析するという本。 分析そのものは、ワインの味の講釈を聞くようなもので、 まぁそんな気もするし、そんなでもない気もする。 それよりも、著者が作家たちの自宅でインタビューをしたときの回想の方が、 意外な発見もあって興味深い。 特に井伏鱒二あたりは、小説音痴な僕は顔すら思い浮かばな […]

「日本幻想文学史」(須永 朝彦)

  この著者にとっては、 リアリティを欠いたものはすべて「幻想」に思えるようで、 ゆえにこの本は、「日本幻想文学史」というよりも、 「日本文学史」になってしまっている。 特に江戸以前の古典の物語なんて、 現代的な意味でのリアリズムを備えたものなどないのだから、 「幻想」の定義をしっかりしてから語り始めないと、 「古事記」も「日本書紀」も「源氏物語」も「太平記」も、 みんな全部、「幻想文学 […]

「太平記(五)」(岩波文庫版)

  この四月に出た岩波文庫版の最新刊で、 第三十~三十六巻を収録。 あとは十月に(六)が出れば、完結となる。 さすがにここまで来ると、 物語としてはマンネリ化というか、 まぁ、そもそも前半で楠木正成や新田義貞といった、大物武将が死亡してしまうため、 後半はどうしても小粒感が否めない。 今回の(五)では、義貞や正成の息子たちが活躍はするのだが、 人物としてのスケールというか魅力に乏しいので […]

1 2 11