バカルディのときに書きそびれたのだが、
バカルディのロゴマークには、コウモリが使われている。
その理由を調べてみると、
設立して間もないころ、蒸留所に入ってみると、
そこにコウモリがいたからだという。
しかも、キューバの先住民にとって、
コウモリは幸福の象徴だったとか。
そこで思い出したのは、コウモリというのは、
中国でもめでたい生き物とされていて、
中国の工芸品や、その影響を受けた日本の各種装飾にも、
コウモリを使ったものが多く見られる。
なぜ中国でコウモリが珍重されたかといえば、
「蝙蝠」の中国での発音が、「幸福」と同じであったため、
すなわちコウモリは幸せを運ぶ生き物とされたわけだ。
キューバと中国という、
まったく接点のない文化に共通点が見られるのも面白いが、
ところで、「コウモリ」は、
かつて我が国では「かわもり」と呼ばれていたわけだが、
これを、「イモリ(井守)」や「ヤモリ(家守)」と同じく、
「川守」が語源である、という説を見かけるが、
それはおそらく間違いであろうと思う。
なぜならば、「かわもり」となる前、
すなわち平安時代まで遡ると、「かわぼり」であって、
これは、たとえば「かわへ」(肌・皮膚)という語からも連想されるように、
「かわぼり」の「かわ」は「皮」であり、
「ぼり」はあるいは「張り」のことで、
すなわち「皮張り」ではないかと思うからである。
これはコウモリの翼が皮膜であるという、
生物学的かつ形態上の特徴とも合致する。