本・読書

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「マスペディア 1000」(リチャード・オクラ・エルウィス )

数学とは可哀想なもので、 何かあるたびに、 「数学は生活の役に立たない」 と言われてしまうわけだが、 そもそも、学問の大部分は、 生活の役に立ちなどはしない。 もちろん、例えば電子工学や建築学は、 我々の生活に直接関わっているし、 その「道具」である数学も、 また同様であるわけだが、 でもそれらの学問を通じて、 世の中に貢献している人なんて、 ごくごくわずかであって、 僕を含めた一般庶民からすると […]

「日本語名言紀行」(中村 明)

気象、人体、動物、住居、等々、 様々なジャンルに関する「名言」を、 我が国の古今の名作から集め、 それについて語ったエッセイ。 ひと言で「名言」といっても、 そこには色々な意味が込められているわけで、 表現として優れているもの、 含蓄深いもの、 人口に膾炙しているもの、 響きのよいもの・・・・ 著者がどういう基準でもって、 「名言」を選出したのかが、 不明瞭であるのに加え、 作家についてのエピソー […]

「世界は「関係」でできている: 美しくも過激な量子論」(カルロ・ロヴェッリ)

まるで映画のワンシーンのように、 北海に浮かぶヘルゴラント島で、 若きハイゼンベルクが、 思索に耽るシーンから始まる。 そこから量子論の何たるかと、 その不思議さ、魅力について、 ロジカルに、そしてときに詩的に、 著者は語ってゆく。 そして前半の最後、 エンタングルメント(量子もつれ)を頂点とし、 この世界は、事象やモノが独自で存在するのではなく、 「関係性」でのみ捉えられる、という、 この本のテ […]

「屈辱の数学史 A COMEDY OF MATHS ERRORS」(マット・パーカー)

邦題はどうかと思うが、 数にまつわるミス、 そしてそれが原因で起きた事故について、 そこから得られる教訓とともに、 紹介した本。 数学というよりも、 単位、暦、通貨など、 日常的な数についての話が、 大部分なので、 数学が苦手な人でもとっつきやすいはず。 やはり印象深いのは、 単位換算のミスが原因で、 飛行機が制御不能に陥ったり、 火星探査機が行方不明になったりといった、 「大事故」が起きてしまっ […]

「バッハ 平均律クラヴィーア ⅠⅡ: 解釈と演奏法」(市田 儀一郎)

日本語で読める『平均律』全曲の、 鑑賞用ではなく実演用の解説書は、 それほど多くはないのであるが、 その中でも質・量ともに、 群を抜いた存在なのがこの本。 Ⅰ巻とⅡ巻の全2冊で、 全48曲のプレリュードとフーガを、 1フレーズずつ分析しながら、 曲の構成、演奏法について、 詳細に解説している。 特にフーガにおいては、 全体構造の理解なしでは、 弾いたことにはならないので、 この本は、練習の合間に何 […]

「物語史の起動」(藤井 貞和)

いまさら「物語史」について、 そう新しい切り口はないだろうと思いながらも、 新刊、しかも青土社かつ藤井貞和だと、 ついつい買ってしまう。 著者は物語史を以下のように分類する。 ——————— 神話紀:ほぼ縄文時代 昔話紀:ほぼ弥生時代 フルコト紀:ほぼ古墳時代 物語紀:7~13、14世紀 ファンタジー紀:中世後期~ […]

「邪悪の家」(アガサ・クリスティー)

原題は「Peril at End House」だから、 「邪悪の家」という邦題は、 原題のニュアンスとも、 そしてもちろん作品の内容とも、 マッチしていない。 その作品の内容はと言うと、 とある家に暮らす若くて美しい女性が、 何者かに命を狙われていることを知った名探偵ポアロが、 その女性を巡る人間関係を紐解きながら、 悪戦苦闘の末、意外な真相を突き止める、 というもの。 読者には、 ポアロが整理し […]

「発表会文化論:アマチュアの表現活動を問う」(宮入 恭平 編著)

アマチュア音楽愛好家にとって、 「発表会」という存在は、 避けて通れないテーマである。 それは別にピアノやヴァイオリンなどの、 クラシック音楽に限らず、 バレエでも長唄でも日本舞踊でも、 ライブハウスでのバンド演奏でも、 また、美術展であっても同様だ。 要するに、 アマチュアが「(決して安くはない)お金を払って」、 人前で芸を披露する というのが発表会の定義となるのだろうが、 そこには様々な根深い […]

「サイエンス ペディア1000」(ポール・パーソンズ)

科学の10カテゴリーから厳選された、 1,000のワードについて、 分かりやすく解説した、 いわゆる「読む事典」。 ただ、たとえば、 「光量子仮説」「ティティウス・ボーデの法則」 がないなど、 1,000個のワードの選出には、 苦労したんだろうな、と思う。 物理・化学・生物・地学 の分野に加え、 社会化学・情報・応用化学 といった、 高等学校では習わない内容も含まれており、 大人も満足な読み応えか […]

「ゆれうごくヤマト ―もうひとつの古代神話」(アンダソヴァ・マラル)

「大和朝廷」といえば、 我々は小学校以来の歴史の教科書で、 あたかも我が国の礎を築いた、 絶対的な存在として教えて込まれてきた。 けれども、歴史とは必ずしも事実ではなく、 時の権力者によって描かれた、 「ストーリー」であることを忘れてはならない。 だがそれは、 子供の頃からそのような「ストーリー」を、 刷り込まれてきた我々日本人には、 もはや克服できず、 本書の著者のような、 海外からの眼を以てし […]

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