本・読書

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「古代日本の官僚-天皇に仕えた怠惰な面々」(虎尾 達哉)

かつて深夜残業が続いていたときに、 毎夜タクシーで帰宅していたことがあるのだが、 霞が関の省庁の前を通り過ぎるとき、 「客待ちタクシー」の多さに、 驚いたという経験がある。 一時期ニュースでも、 官公庁の「ブラック勤務」について、 話題になっていたが、 そう、日本の官僚は、 とにかく勤勉なのである。 7、8世紀の頃、 「神にしませば」とうたわれた天皇を中心に、 中国を真似て、 「律令国家」を完成さ […]

「新版ソアレスのピアノ講座 バッハ演奏ハンドブック」(クラウディオ・ソアレス)

「ハンドブック」というと、 常にピアノの横に置いて、 練習しながら参照する、 というイメージがあるが、 この本はそれよりも、 「ミニ解説書」というイメージに近い。 前半は、バッハの時代の、 楽曲や演奏法の特徴を、 後半は、バッハの鍵盤曲、 具体的には、 『インヴェンションとシンフォニア』 『平均律クラヴィーア曲集』 『舞曲集・その他』 について、 曲の解釈と演奏法のヒントを、 それぞれ述べている。 […]

「三体問題 天才たちを悩ませた400年の未解決問題」(浅田 秀樹)

三人寄れば文殊の知恵、 という言葉がある一方で、 船頭多くして船山に登る、 というのもある。 要するに、 たとえば会議などにおいて、 参加者の数が多いことには、 メリットもデメリットもあるわけなのだが、 これが物体間に働く重力の話になると、 物体の数が増えれば増えるほど、 話は断然ややこしくなってくる。 「物体の数が増えれば増えるほど」 というよりも、 現状厳密に解を出せる(解がある)のは、 2物 […]

「文字渦」(円城 塔)

文字、特に漢字の、 歴史、意義、成り立ち、魅力、魔力…etc. そういったあれこれの性質をテーマにした、 短編小説集。 おそらく中島敦の『文字禍』に、 インスパイアされたのだろうが、 はっきりいってこちらの『文字渦』は、 小説としてつまらない。 どちらかといえば駄作の部類だと思うし、 読み切るのは苦行以外の何モノでもなかった。 要は全編、「知識のひけらかし」で、 ストーリーや深みがまるでない。 こ […]

「真贋」(吉本 隆明)

これはエッセイかと思いきや、 「あとがき」によれば、 どうやら著者へのインタビューを、 編集者が文章にしたものらしい。 なるほど、 最初からインタビューだと分かっていれば、 読む側の心構えも違っていたのだが、 吉本隆明にしては、 文章に切れ味と深みがなく、 なんともかんとも消化不良、、、 という印象のまま、 気がついたら読み終わってしまった。 一応、テーマとしては、 「真贋」というタイトルのとおり […]

「蒼海館の殺人」(阿津川 辰海)

作者は20代で、主人公は高校生、 ということで、 最初こそは、 「おっさんには厳しいかな。。。」 と不安だったが、 読み進めるうちに、 逆の意味で裏切られた。 これは、かなり上出来のミステリー。 名家の一族が集まった屋敷で、 殺人事件が起こる、 という、 それこそお決まりのパターンなのだが、 とにかくトリックがすごい。 密室とか、小道具とか、 物理的な仕掛けはほぼ皆無なのだけれど、 真犯人による、 […]

「言葉を離れる」(横尾 忠則)

1936年生まれ、 高齢となった著者が、 自らの人生を振り返りつつ、 生と死、そして芸術などについて、 語ったエッセイ。 著者は、少年時代から、 ほとんど本を読まなかったという。 しかしそれは決してマイナスではなく、 「言葉を離れる」ことで、 逆に得られることも多く、 特に絵を描くという行為においては、 言葉は無用で、 肉体の感覚こそが重要だと語る。 また、著者には、 本以上に、人から学んだことが […]

「日本文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く」(松岡 正剛)

たまに読みたくなるセイゴウ節。 そして、日本文化を理解したいなら、 この人を読んでおけば間違いない。 ただこの本は、失敗だった。 理由1:内容が浅い おそらく「広く浅く」を、 コンセプトにしているのであろうが、 日本文化初心者(?)には、 良いのかもしれないけれど、 少なくとも僕にとっては、 それぞれのテーマへの深堀りが足りなすぎる。 理由2:細かいことにうるさい まぁこれは、 この人の著作には、 […]

「ゼロ時間へ」(アガサ・クリスティー)

原題は「Towards Zero」で、 この「Zero」を「ゼロ時間」と訳すことには、 やや抵抗がないわけではないが、 まずはこの「ゼロ時間」とは何か、 物語の終盤で登場人物により語られた言葉を、 そのまま引用しよう。 殺人事件のニュースを読んだり、 あるいは殺人を扱った小説を読むとき、 読者はふつう殺人事件が起きたところから出発します。 ですが、それはまちがいです。 殺人は事件が起こるはるか以前 […]

「宇宙研究のつれづれに」(池内 了)

この著者でこのタイトル、 ワクワクして読み始めたのだが、 内容は想像と大きく異るものだった。 この本のテーマは、 科学倫理というか、 科学者が政治、特に軍事からの誘惑・圧力に、 どのように対処すべきか、 というもの。 日本学術会議の問題は、 まだ記憶に新しいが、 科学者が政府の言いなりになると、 間違いなく軍事利用されるというのは、 我が国の歴史を振り返るまでもなく、 現に、それが海外では、 当た […]

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