本・読書

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「柿本人麻呂論」(北山 茂夫)

後世、歌聖として崇められ、 伝説や逸話の類は数多くあれど、 官位の低さなどから、 存命時の記録には一切登場しない人麻呂について、 歴史学を専門とする著者が、 天武・持統朝のやや特殊な状況を踏まえつつ、 作品自体や先人たちの研究内容にも深く切り込んで、 この謎の詩人の実体と魅力に迫った論考である。 人麻呂といえば「挽歌詩人」というイメージが強いが、 著者は人麻呂の特徴は、 「相聞的挽歌」にあると断言 […]

「ウイルスの世紀――なぜ繰り返し出現するのか」(山内 一也)

大きく3部構成になっていて、 ・ウィルスとは何か ・新型コロナウィルスについて ・我々はウィルスとどう向き合うべきか について書かれた本。 難しい説明はあまりなく、 その代わり具体的な事例の紹介が豊富で、 エボラウィルス、マールブルグウィルス、 二パウィルス、コロナウィルス、 そして今回の新型コロナウィルスなど、 それぞれがどのようなルートでヒトに感染し、 そしてそれがどのように発覚し、 どのよう […]

「歴史よもやま話 東洋篇」(池島 信平 編)

昭和40年前後にNHKラジオで放送された、 歴史の専門家による座談会を、 書き起こして本にしたものらしい。 古い本であるが、それもそのはずで、 先日実家に帰った際に、 父親が処分しようとしていた本の中から、 頂戴してきた。 テーマとしては、下記の通り。 釈尊/孔子と孟子/秦の始皇帝/司馬遷の世界/長安の月/敦煌/成吉思汗/西遊記と水滸伝/康煕・乾隆/孫文/北清事変/宦官/毛沢東 言うまでもなく、 […]

「日本語の形容詞」(北原 保雄)

言語の成立を考えたとき、 (擬音語・擬態語は別として) 名詞・動詞が他に先行したであろうことは、 想像に難くない。 盛り上がっている土地を、 「山」と名付け、 その土地を上に向かって歩くことを、 「登る」と名付ける、 といった具合だ。 そこから次の段階に進むと、 「山」の中にも、 「低い」や「高い」があったり、 「登る」であっても、 「ゆっくり」や「速い」があったり、 つまり、形容詞や副詞が生じる […]

「古典対照語い表」(宮島 達夫)

「万葉集」「竹取物語」「伊勢物語」「古今和歌集」 「土佐日記」「後撰和歌集」「蜻蛉日記」「枕草子」 「源氏物語」「紫式部日記」「更級日記」「大鏡」 「方丈記」「徒然草」 のそれぞれの作品の中で、 どの単語が何回使われているかを、 一覧化した本。 中古から中世にかけての、 代表的な古典作品において、 ある単語がどれぐらい登場するのかを見ることで、 その単語の時代ごとの使用度合や、 また、作品内での単 […]

「ねじれた家」(アガサ・クリスティー)

この作品の映画があるのを知り、 観る前にまずは原作を読んでおこうと。 大家族が住むお屋敷で、 資産家の老人が殺害される、 というお決まりの設定ではあるが、 家族それぞれに動機があったり、 アリバイがなかったりする中で、 「犯人当て」の醍醐味を味わうことができる。 特に残り10%近く、犯人が逮捕され、 無事解決と思っていたところで、 第二の殺人が起こり、 ラストに向けて目まぐるしく展開していくあたり […]

「私家版 日本語文法」(井上 ひさし)

もう今から40年も前の本になるが、 古いという感じは、ない。 井上ひさしという作家については、 ほとんど、というか、まったく知らないのだが、 著者本人も述べているように、 文法の素人(といっても文筆家である以上、完全な素人ではない)が、 文法について考えた本ということで、 興味を惹かれた。 所々、僕の理解力でも「ん?」と思える箇所が、 ないわけではないが、 なまじ専門家ではない分、 読者目線という […]

「西遊記」(橘 南谿)

「西遊記」といっても、 猿や河童が活躍するアレではなく、 江戸中期に、 京都の医師であった橘南谿が、 西国である、中国・四国・九州地方を巡遊し、 各地で見聞きした出来事や、 その土地の伝承や旧蹟などについて、 記したものである。 バラエティに富んだ内容や、 主観的な表現が多いなど、 読んでいて飽きることなく、 旅のガイドブックとして、 当時のベストセラーだったことも頷ける。 著者は当代きっての知識 […]

「〈うた〉起源考」(藤井 貞和)

感想を一言で表すならば、 「ダマされた」。 このタイトルで、 4,000円を超える大著(?)、 しかもこの著者と出版社ということもあり、 和歌の起源を追究する、 堂々たる論考かと思いきや、 読んでいる途中で、 章と章との連続性のなさに不審をおぼえ、 調べてみると、 和歌に関する独立した文章を、 各章として寄せ集めただけのものだった。 そうなると、全31章というのも、 和歌の「三十一文字」になぞらえ […]

「己巳紀行」(貝原 益軒)

「己巳紀行(きしきこう)」は、 丹波丹後若狭紀行 南遊紀事 島上紀行 の三部からなる紀行文で、 いずれの旅も、 十干十二支の「己巳」(「つちのとみ」または「つちのとのみ」)の年、 つまり元禄二年(1689年)のものであることから、 このように名付けられていると思われる。 益軒の客観的著述姿勢は、 以前紹介した「東路記」と同様であるが、 特に「南遊紀事」においては、 『太平記』の愛読者であった益軒ら […]

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