本・読書

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「異常論文」(樋口 恭介 編)

「異常論文」というジャンルを、 この本で初めて知ったわけだが、 シンプルに言ってしまえば、 「論文の形式で書かれた小説」 ということになる。 ほぼ完全な論文形式の作品もあるが、 テーマはフィクションなわけで、 そういう意味では、 広い意味での「SF」となるわけだが、 ただ、とても論文には見えない作品も、 多々混じっており、 僕的に「異常論文」を定義するならば、 ストーリーが存在せず、 作者が好き勝 […]

「火葬場」(浅香 勝輔 / 八木沢 壮一)

実家が火葬場(落合葬場)の近くだったため、 少年の頃の日々の記憶の景色には、 あの薄汚れて威圧感のある、 煙突の姿が象徴のようにこびり付いている。 (現在では近代化が進み、煙突はなくなっているらしい) 小学校への通学時はもちろん、 近所で遊ぶにも、 常にあの煙突は視界に入っていたので、 それが別に嫌な感じとか、 人の死と結びついているとか、 そんなネガティブな感覚は、 当時もなかったように思う。 […]

「シルクロード~流沙に消えた西域三十六か国」(中村 清次)

NHK特集の『シルクロード』の、 取材班団長が著者ということもあり、 番組閲覧とセットで読んだ方がいい。 番組の方は、 ロードムービー的な色合いが、 濃かったように思うが、 この本は、 シルクロードと西域諸国が、 中国の各王朝にとって、 どのような意味を持ち、 そしてそこに、 どのような歴史が繰り広げられてきたのか、 の解説に焦点をおいている。 特に序盤に書かれていた、 中国の絹織物文化と、 西域 […]

「日本古典と感染症」(ロバート・キャンベル)

万葉集から漱石・鴎外まで、 我が国の文学作品と、 感染症との関わりについての論考集。 正直、中身は玉石混交で、 大学時代のゼミの先輩(某大学准教授)の担当分は、 特に内容が薄かったような(辛口)。 たぶん、医学的な視点で、 これらの作品を紐解けば、 また違った発見があるのだろうが、 如何せん、文学畑の学者は、 ツマランですなぁ、、、 読めば分かることを、 もったいぶって語っているだけで、 まぁ、文 […]

「バッハ キーワード事典」(久保田 慶一 編)

「キーワード事典」というと、 何やらリファレンス的な感覚があるが、 これはそうではない、 正真正銘の読み物。 人物、楽譜、ジャンル、様式、 演奏、楽器、出版、 といった、 バッハを取り巻くあらゆる事柄を、 カテゴリ毎にまとめることで、 伝記の形式では辿り着けない、 バッハ音楽の核心に迫れている。 譜例も豊富だし、 バッハ好きなら、 手元に置いておくべき一冊。 敢えて難を挙げるならば、 あまりに広い […]

「占星術殺人事件」(島田 荘司)

この作家の作品を読むのは2作目となるが、 これがデビュー作にして代表作(?)だという。 感想を端的に述べるならば、 「力作ではあるが、傑作ではない」 という感じか。 とある画家と、 その6人の娘が惨殺される、という、 かなり猟奇的なテーマなのだけれども、 正直、犯人がすぐに分かってしまったというのが、 僕にとってのマイナスポイントだったのかもしれないが、 まぁ、トリックにしても、 世間で言われてい […]

「人体大全 なぜ生まれ、死ぬその日まで無意識に動き続けられるのか」(ビル・ブライソン)

脳、皮膚、骨、心臓、目、 薬、医療、そして死。 ヒトの体をあらゆる方向から解説し、 最新の学説やインタビューを元に、 そのメカニズムと謎に迫る本。 一般向けの科学本に定評のある著者だけに、 この本も、読めば読むほど惹き込まれ、 そしてふと我に返ると、 これだけ医学や科学が進歩してもなお、 人間は自分の体について、 ほんの少ししか知らないということに、 驚かされる。 パンデミックについては、 確かに […]

「エボラの正体」(デビッド・クアメン)

COVID-19という、 パンデミックを経験した我々には、 ウィルスについてある程度学ぶ義務がある。 エボラウィルス病(エボラ出血熱)は、 パンデミックには至らなかったけれども、 新型コロナ同様、 「人獣共通感染症」として、 多くの犠牲者を出したことは、 いまさら語るまでもない。 アフリカの国々に赴き、 被害者の家族にインタビューするなど、 エボラウィルスの実情と、 その恐怖について、 いきいきと […]

「霊柩車の誕生」(井上 章一)

生まれ育った場所(落合)が、 火葬場に近かったこともあり、 子供の頃から、霊柩車には、 何となく愛着(?)のようなものがある。 いや、愛着は言い過ぎで、 「見慣れている」というレベルかもだが、 いずれにせよ、 あの独特の見た目には、 奇異とも敬虔ともいえない、 独特な感覚があったように思う。 僕が見慣れていたのは、 車体の後ろ半分が、 山車や神輿のようになっている、 この本でいうところの、 「宮型 […]

「歴史を変えた6つの飲物」(トム・スタンデージ)

文化史、経済史、政治史、 というレベルで、 世界史を語ることはできるけれども、 例えば、 音楽史、絵画史、読書史、 では「世界」は語れない。 だが、酒は違う。 酒は、この地球上に生まれて以来、 万人を熱狂させ、 時には権力と結びつき、 時には人々の争いを招き、 そして何よりも、 常に人々の生活の、 「ほぼど真ん中」にあった。 しかし酒が人を酩酊させることは、 利点であると同時に弱点でもあり、 人を […]

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