本・読書

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「浮世風呂」(式亭 三馬)

  やはり定期的に古典を読まないと、どうも落ち着かない。 そういえば江戸の戯作の類にはあまり縁がなかったので、 滑稽本の代表作『浮世風呂』を読んでみることにした。 全編ほぼ会話のみで成り立っているので、 軽快・痛快であることはもとより、 当時の文化や風俗に関する情報が盛り沢山であるため、 知識面での興味にも事欠かない。 個人的に特に気になったのは、 1.江戸の話し言葉について 2.当時の […]

「表現としての俳諧―芭蕉・蕪村」(堀切 実)

  韻文の解釈というものは、内容に偏りがちで、 主観的、そして時には感傷的になりがちではあるが、 それとは逆に、語句やレトリックにフォーカスを当てて、 あくまでも客観的に芭蕉・蕪村の句の解釈を試みた小論集。 俳句に対するこのようなアプローチ方法は、 別に珍しくも何ともないと思いながら読んだのだが、 巻末の解説に、これらが書かれた昭和60年前後においては、 このような解釈は斬新で、価値のあ […]

「星の古記録」(斉藤 国治)

  天文学の楽しみのひとつは、 計算によりそれぞれの星の動きや位置を、再現・予測できることにある。 それはすでに古代人が気付いていたことでもあり、 エジプトやマヤなどの古代文明では、 星の動きをカレンダーとしていたことは、よく知られている。 規則正しい動きを伴う天体の特徴は、 実用面のみならず、占術にも用いられることにより、 古代の文献には天体に関する記述が、少なからず見受けられる状態と […]

「中谷宇吉郎随筆集 」(樋口 敬二 編)

  雪の研究で知られる著者による、 主に科学に関するエッセイ集。 ジャンルとしては師の寺田寅彦と被るが、 寺田が大局から柔らかく論じる形式であるのに対して、 中谷は最初からストレートに核心に迫る、という印象。 戦時中に書かれた作品も多く、 あの大戦下で科学者がどのような思考をしていたのか、 ということを探れるという意味でも興味深い。 科学関連のみならず、自身の体験や昔日の思い出などを語っ […]

「江戸・東京88の謎」(春日 和夫)

  暇つぶし的にライトに読める本だと思っていたら、 教科書的なしっかりとした解説で、かなり読み応えがあった。 一応立てつけ的には88ある各章が「謎」の形になってはいるのだが、 別にそれを意識しなくても、通常の読み物として十分イケる。 17世紀の初めに家康が幕府を開いて以降の江戸は、 各種の資料でその細部まで分かるのであるが、 それ以前の江戸と言えば、 15世紀の半ばに太田道灌が江戸城を築 […]

「予測不可能性、あるいは計算の魔――あるいは、時の形象をめぐる瞑想」(イーヴァル・エクランド)

  真円および等速運動という完全性の誘惑を断ち切ったケプラー、 それを計算により証明したニュートンから始まり、 予測不能な科学の代名詞としてのポアンカレが登場する。 そしてそこからカタストロフィ理論の詳細へと踏み込み、 科学における「予測可能」と「予測不可能」の違いから、 時の概念について展開していく。 おそらく興味のない人には一生知らなくても良い内容だし、 これらを知らなくても、人生が […]

「大人の科学」(南 伸坊)

  著者曰く、この本の想定読者は、 「(自分を)コドモと思っていないコドモ」あるいは、 「(自分を)大人と思っていない大人」 ということらしい。 要するに、どっち付かずの中途半端。 「色気の科学」(「男と女」「ホルモン」「血液」など) 「生死の科学」(「死体」「解剖」「寿命」など) 「話題の科学」(「人工現実」「進化」「サリン」など) 「脳内の科学」(「記憶」「睡眠」「表情」など) とい […]

「日航機123便墜落 最後の証言」(堀越 豊裕)

  日航機墜落事故については、 いまだにネットやマスコミで採り上げられることが多く、 自分も少し気になっていたので、この本を手にしてみた。 おそらくこの本が、同じ事故を扱った他の書物と決定的に違う点は、 当時の米国の関係者に徹底的に取材することで、 この事件の、日本ではあまり語られてこなかった一面を示せていることだろう。 そこには、当時のボーイング社の社長や、 NTSB(米運輸安全委員会 […]

「涼しい脳味噌」(養老 孟司)

  養老先生の1990年前後のエッセイを集めた本。 前半は、解剖医の立場から「心と身体」の問題を述べたものが中心となっている。 英語で死体のことを「body」と表現することを初めて知ったとき、 ものすごく違和感があったことをいまだに覚えているが、 日本人と西洋人に「身体観」の違いについて書かれている箇所を読んだとき、 あぁ、なるほどと思えた。 要するに日本人は、「心」と「体」を切り離して […]

「中国古典文学大系22 大唐西域記」(玄奘)

たしか今年の2月ぐらいから読み始めた気がするので、 かれこれ半年以上、 就寝前とかに時間を見つけて、ちびちびと読み進め、 ようやく読了した。 言わずと知れた『西遊記』のモデルともなった玄奘の旅行記なのだが、 肩すかしを喰らったというか、 どうやら大きな勘違いをしていたことに途中で気付いた。 いくら中国側の許可証があったといっても、 中国からインドまでの陸路の道のりは、 砂漠、山脈、密林、猛獣、山賊 […]

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