本・読書

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「藤河の記」(一条 兼良)

関白太政大臣まで昇り詰めた政治家にして、 和漢に通じた碩学でもあった一条兼良による紀行文。 応仁の乱による混乱から奈良に避難していた作者が、 家族に会うために美濃国へ往復した際の出来事や、 歌枕に寄せた和歌などが記されている。 古典作品には、中身が大したことなくても、 何故か冒頭だけは気合の入ったものが多いわけで、 これもその類かもしれない。 やや長くなるが、作品冒頭を引用してみよう。 胡蝶の夢の […]

「『偶然』と『運』の科学」(マイケル・ブルックス)

現代社会は、そしてそれを支える科学そのものも、 曖昧さを排除することで成り立っていると思いがちである。 本書は、実はそうではなく、 宇宙の誕生も、生命の登場も、 そして数学や物理といった「予測可能」と思われるものも、 偶然や不確実さやランダムさにどれほど支配されているか、 について語った本である。 著者の異なる27編の文章から成り立っており、 それぞれの関連性についても配慮されているので、 実に読 […]

「偶然の科学」(ダンカン・ワッツ)

タイトルだけを見て、 当然科学関連の本だと思ったら、違った。 せっかくKindleで試し読みができるのに、 それを活用しなかった自分が悪いのだが。 ということで、内容は完全に専門外なので、 どういうジャンルになるか分からないのだが、 おそらく社会学とか社会心理学、 あるいはマーケット論の類なのだろう。 要するに、 常識と思われていることも実は当たり前ではなく、 裏側で何らかのバイアスが働いているの […]

「小島のくちずさみ」(二条 良基)

言わずと知れた連歌・和歌界の大御所、 二条良基による作品。 南朝方に京都を占領され、 北朝の後光厳天皇は美濃の小島(おじま)に逃れるが、 それに従った作者による、都から小島までの紀行文パートと、 足利義詮が都を奪還して還幸するまでの、 田舎での不便な生活を描いた日記文パートからなる。 作中の二か月余り、 作者は「瘧(おこり)」を患っており、 そこに「ししこらかす」という珍しい動詞が使われていること […]

「時間の言語学: メタファーから読みとく」(瀬戸 賢一)

「時間」という言葉の意味・用法から、 時間と我々との関係性について考察した本。 言葉の意味そのものから、 「時間とは何かについて」語るというのは新鮮ではあったものの、 特に後半、 「時間はお金」「時間は命」というメタファーを説明するあたりは、 ちょっとクドいかな。 あと、どうしても気になることがある。 著者は、「時間は流れ」であるとした上で、 ・時間そのものは、未来から過去へ流れる(A) ・我々は […]

「都のつと」(宗久)

南北朝時代の歌人、宗久による紀行文。 一夜の旅の宿にて、老の眠を醒まして、 壁に向かへる残りの灯をかかげそへて、 道すがらの名高き所々の心に残りしを、 忘れぬさきにとて、思ひ出づるままに、 前後の次第を言はずこれを記しつけて、 都のつとにとて持ち上がりぬ。 という末尾の一文が、 本作の内容、そしてタイトルの由来を端的に表している。 現代ではあまりメジャーな作品とは言い難いが、 後世、明らかに芭蕉が […]

「神は詳細に宿る」(養老 孟司)

最近、またなぜか読書のペースが上がってきた。 別にヒマになったわけでもないし、 むしろ仕事は忙しくなってるし。 僕の場合、なぜ読書をするのかというと、 基本、怠惰な性格なので、ゼロから考えることはしたくない。 だから本を読むことで、 考えるきっかけを得ることができる。 ただもちろん、コストは嵩む。 考えるために金を払うのは何だかバカバカしいけれど、 同じ金で酒を飲んで、何も考えずに時間を潰すよりは […]

「竹むきが記」(日野 名子)

特に深い理由はなく、 毎日寝る前に布団の中で古典を読むことにしているのだけれど、 いやぁ、この作品は睡眠導入としては最適だった。 南北朝初期の動乱の中にあって、 幼い息子を権力争いから守り育てる苦労や、 当時の朝廷(北朝)や公家たちの様子が、 克明に描かれている。 ただ、「中務内侍日記」と同様、 事実を客観的に書き残そうという意識が強いせいか、 文学作品というよりは、記録的価値の方が高いのかも。 […]

「美の構成学―バウハウスからフラクタルまで」(三井 秀樹)

一言で説明するならば、「毒にも薬にもならない本」。 構成学とは何なのか、 それがなぜ大切なのかについて書かれているわけなのだが、 全編に渡って教科書的著述というか、 事実としてはその通りな内容なのだけれど、 まったくもって、面白くない。 デザインに携わっている人の文章って、 中途半端な(自称)文筆家よりも読み応えがある印象だったのだけれど、 この本は違ったなぁ。 新書だから仕方ない面もあるのだろう […]

「酔っぱらいの歴史」(マーク・フォーサイズ)

酒の歴史を書いた本は数多くあるけれど、 これは「酔っ払い」の歴史。 古今東西、人々がいかに酒と付き合い、 そして酒に溺れてきたかを、 軽妙な文章で綴っている。 個人的に意外だったのは、 オーストラリアという国の成立には、 (案の定)酒が関わっているのだけれども、 それはビールでもワインでもなく、 ラムだということ。 そして近現代のネタとしては、 イギリスのジン、ロシアのウオッカが、 権力によって民 […]

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