百人一首替へ歌

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百人一首替へ歌(No.25)

第四十九番歌 【原歌】 御垣守衛士の焚く火の夜は燃え 昼は消えつつものをこそ思へ (大中臣能宣朝臣) 【替へ歌】 夜は燃え昼は消えつつあてもなき 恋火をただに守りつるかな 「御垣守衛士の焚く火の」という、 序詞が特徴的な原歌。 昼はぐっとガマンして、 夜になるとやたらと逢いたくなるという、 現代でいえば職場恋愛みたいな状況を、 想像してみるとよいのかな。 ただやはり序詞が、 あまりにも現代向きでは […]

百人一首替へ歌(No.24)

第四十七番歌 【原歌】 八重むぐら茂れる宿の寂しきに 人こそ見えね秋は来にけり (恵慶法師) 【替へ歌】 八重むぐらかき分け友の来ぬるかと 宿出てみれば秋風ぞ吹く 八重むぐらが茂る寂しい我が宿に、 人は訪れないのに秋が来ちゃったよ、 というこの季節にピッタリな(?)原歌。 「八重むぐら茂れる宿」という、 場面設定だけで十分なのに、 そこに「寂しき」という主観をダメ押ししたのは、 ちょっとクドいかな […]

百人一首替へ歌(No.23)

第四十五番歌 【原歌】 あはれともいふべき人は思ほえで 身のいたずらになりぬべきかな (謙徳公) 【替へ歌】 いたずらになりぬる後にあはれとも いふべきものと待ちつつあるを 詞書によると、この原歌は、 自分を振った相手を恨めしく思って、 送り付けた歌だという。 歌意としては、 振られた私を、 可哀想だと言ってくれる人なんて思い付かず、 私はこのまま死んでしまうでしょうよ っていう感じで、 前から続 […]

百人一首替へ歌(No.22)

第四十三番歌 【原歌】 逢ひ見てののちの心にくらぶれば 昔はものを思はざりけり (権中納言敦忠) 【替へ歌】 恋心打ち消す如くすでに我が 肉体は知りぬ愛の温度を 第四十三・四十四番歌は、 歌自体も作者名も似ていて、 ちょっと紛らわしい。 こちらの四十三番歌は、 あの人と実際に愛し合ってみると、 以前の気持ちとは比べ物にならないぐらい、 好き度合いが増してるなぁ、 という、 まぁ言ってしまえば、 結 […]

百人一首替へ歌(No.21)

第四十一番歌 【原歌】 恋すてふわが名はまだき立ちにけり 人知れずこそ思ひそめしか (壬生忠見) 【替へ歌】 人知れず止みにしものを恋すてふ わが名ばかりはあとに残りて 原歌は「忍ぶ恋」として、 第四十番歌の、 忍ぶれど色に出でにけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで (平兼盛) と、歌合で競い合った歌。 結果としては、 帝が「忍ぶれど…」と口ずさんだことで、 四十番歌が勝ったわけだが、 確かに、 […]

百人一首替へ歌(No.20)

第三十九番歌 【原歌】 浅茅生の小野の篠原忍ぶれど あまりてなどか人の恋しき (参議等) 【替へ歌】 すれ違う人もなき小野の篠原に 浅茅を友と慕ひけるかな 原歌にある「小野」について、 多くの注釈書では、「小さな野」と、 普通名詞として解釈するのだが、 僕としてはやはり、 『伊勢物語』や『源氏物語』に描かれた、 人里離れた寂しい土地としての「小野」(固有名詞) と捉えたい。 詠者である源等の時代に […]

百人一首替へ歌(No.19)

第三十七番歌 【原歌】 白露に風の吹きしく秋の野は つらぬきとめぬ玉ぞ散りける (文屋朝康) 【替へ歌】 秋の野に散りしく玉を手に取れば かたち残さず冷たさの沁む 露=玉、という見立ては平凡だし、 やや理屈っぽいのが難点ではあるが、 野に吹く風によって露が舞うさまは、 まるで玉が散るようだと詠う原歌には、 まるでスローモーションの映像を見るかのような、 視覚的な美しさがある。 これ以上、視覚面で勝 […]

百人一首替へ歌(No.18)

第三十五番歌 【原歌】 人はいさ心も知らずふるさとは 花ぞ昔の香に匂ひける (紀貫之) 【替へ歌】 人はいさ心も知らずしらじらと 横雲たなびくふるさとの空 掛詞や序詞、特に凝った技巧もなく、 用いている語もありきたりで、 一見すると何の変哲もない歌なのだが、 いざ替へ歌を作ろうとすると、 相当悩まされた。 表現が難しいが、 語と語との連携が完璧というか、 機能的に密接していて、 たとえるならば、 […]

百人一首替へ歌(No.17)

第三十三番歌 【原歌】 ひさかたの光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ (紀友則) 【替へ歌】 しづ心なき夕暮の蝉しぐれ ひさかたの空を夏過ぎぬらむ この歌についてはもはや説明不要、 百人一首のみならず、古典和歌のうちで、 最も有名な歌のひとつだろう。 個人的には、 末尾の助動詞「らむ」がポイントだと思っていて、 最後にこの主観的な助動詞を置くことで、 純粋な叙景歌ではなく、 いかにも「古今 […]

百人一首替へ歌(No.16)

第三十一番歌 【原歌】 朝ぼらけ有明の月と見るまでに 吉野の里に降れる白雪 (坂上是則) 【替へ歌】 時知らぬ雪と見まがふ朝ぼらけ 里ぞ凍れる月の光に 今回紹介する二首はいずれも、 「Aだと思ったらBだった」 という、 いかにも古今集時代らしい機智に富んだ歌。 この三十一番歌は、 雪を月明りに見立てているわけだが、 それ自体はステレオタイプで、 特に面白みはないものの、 初句の「朝ぼらけ」という語 […]

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