百人一首替へ歌

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百人一首替へ歌(No.14)

第二十七番歌 【原歌】 みかの原わきて流るるいづみ川 いつ見きとてか恋しかるらむ (中納言兼輔) 【替へ歌】 岸辺にて君と戯るいづみ川 いつ見し記憶とともに流るる 原歌の前半は、 まるっと序詞になっていて、 その末尾の「いづみ川」との音のつながりから、 「いつ見」を導き出している。 なので歌意としては後半の、 「一体いつ見たからといって、 あなたのことが恋しいのでしょうか」 というだけなのであるが […]

百人一首替へ歌(No.13)

第二十五番歌 【原歌】 名にし負はば逢坂山のさねかづら 人に知られで来るよしもがな (三条右大臣) 【替へ歌】 せめてただ逢ふよしもがな蔓草の 地を這う想ひに絡め取りてむ さねかづらは蔓草(つるくさ)の一種で、 「ね」という音が「寝」を連想させるのと、 蔓草を「繰る」と「来る」を掛けるという、 いかにも定家好みの技巧を凝らした歌。 たしかに蔓草というのは、 どことなくエロチックなわけで、 そのくね […]

百人一首替へ歌(No.12)

第二十三番歌 【原歌】 月見ればちぢにものこそ悲しけれ わが身ひとつの秋にはあらねど (大江千里) 【替へ歌】 秋の夜の孤独に耐へかね街ゆけば わが身ひとつにネオン染み込む 人気度ではおそらく、 百人一首中のNo.10には入るだろう。 秋は自分だけに来るわけではないのに、 なぜ秋の月を眺めると、こうも悲しくなるのか、 という、現代人にも理解できる感覚を、 きわめて平易な言葉で詠んでいるのが、 親近 […]

百人一首替へ歌(No.11)

第二十一番歌 【原歌】 今来むといひしばかりに長月の 有明の月を待ち出でつるかな (素性法師) 【替へ歌】 君待つと誰や言ひけむ長月の 有明の月を待たず寝にけり 原歌は、 あなたがすぐ来るといったばかりに、 秋の夜明けの月が出るのを、 寝ないで待ってしまったではないですか というさらりとした、 まるで物語の中の即興歌のよう。 なので替へ歌も、 それに対する返歌の形で、 あなたが待ってるなんて、 誰 […]

百人一首替へ歌(No.10)

第十九番歌 【原歌】 難波潟短き蘆のふしの間も 逢はでこの世を過ぐしてよとや (伊勢) 【替へ歌】 蘆生ふる水際に沈む冬の日の 短き世かな難波潟の暮れ 十九・二十番歌は「難波」シリーズ。 原歌は、 難波潟に生える蘆の節の間のような、 ほんの短い間でさえも、 恋しいあなたに逢わずに過ごせというのでしょうか、 という意味で、 前半は丸々序詞になっているわけだが、 替へ歌では、 蘆の茂っているあたりに沈 […]

百人一首替へ歌(No.9)

第十七番歌 【原歌】 ちはやぶる神代も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは (在原業平朝臣) 【替へ歌】 ちはやぶる神の社に来てみれば 秋は溜まりぬくれなゐの川に 業平の歌で、 かつ人口に膾炙しているわりには、 原歌にはこれといった面白みがない。 ただ、屏風絵を見て詠んだといわれるだけあって、 川面を紅葉が覆い尽くしているという、 視覚的イメージは鮮烈である。 僕の中では、この情景は動的、 つ […]

百人一首替へ歌(No.8)

第十五番歌 【原歌】 君がため春の野に出でて若菜摘む わが衣手に雪は降りつつ (光孝天皇) 【替へ歌】 若菜摘む君の背中に雪片の 触れては消える春まだ浅き野 ここまで替へ歌をやってきて、 ひとつのパターンを発見した。 それは主体を入れ替えるということ。 この十五番歌でいえば、原歌は、 「詠み手=若菜摘む人」 なのに対し、 替へ歌の方は、 「詠み手=若菜摘む人を見ている人」 となる。 原歌の緑と白の […]

百人一首替へ歌(No.7)

第十三番歌 【原歌】 筑波嶺の峰より落つるみなの川 恋ぞ積もりて淵となりぬる (陽成院) 【替へ歌】 みなの川淵に真夏の空映えて 遠く筑波の峰を見るかな 後世まで伝わっているのは、 なぜかこの一首だけという陽成院だが、 この歌はおそらく百人一首中でも、 認知度は低い方だろうし、 僕も以前は、 ゴツゴツした感じがあまり好きではなかった。 でもあらためて接してみると、 何とも深い味わいがある。 前半の […]

百人一首替へ歌(No.6)

第十一番歌 【原歌】 わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと 人には告げよ海人の釣船 (参議篁) 【替へ歌】 帰り来ぬ旅路と知れば八十島の 心も千々に釣船を漕ぐ 原歌の背景を説明しておくと、 参議・小野篁は、 とある事件が原因で隠岐に流罪となるが、 そのときに詠んだとされるのがこの歌で、 あのたくさんの島に向けて、 自分の船が出て行ったと、 釣船の海人よ、どうか都の人に伝えてほしい ぐらいの意。 実際は […]

百人一首替へ歌(No.5)

第九番歌 【原歌】 花の色は移りにけりないたづらに わが身世にふるながめせし間に (小野小町) 【替へ歌】 降り止まぬ雨音を聞く日々過ぎて 残る我が身に悔いなきものを 今更説明するまでもない名歌がゆえに、 畏れ多いというかプレッシャーというか、 かなり悩んだ。 原歌をビジュアルにした場合、 降り止まない雨を眺め(=長雨)ながら、 自分の容貌の衰えを嘆いている姿、 となるので、 それをそのまま、 原 […]