百人一首替へ歌

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百人一首替へ歌(No.8)

第十五番歌 【原歌】 君がため春の野に出でて若菜摘む わが衣手に雪は降りつつ (光孝天皇) 【替へ歌】 若菜摘む君の背中に雪片の 触れては消える春まだ浅き野 ここまで替へ歌をやってきて、 ひとつのパターンを発見した。 それは主体を入れ替えるということ。 この十五番歌でいえば、原歌は、 「詠み手=若菜摘む人」 なのに対し、 替へ歌の方は、 「詠み手=若菜摘む人を見ている人」 となる。 原歌の緑と白の […]

百人一首替へ歌(No.7)

第十三番歌 【原歌】 筑波嶺の峰より落つるみなの川 恋ぞ積もりて淵となりぬる (陽成院) 【替へ歌】 みなの川淵に真夏の空映えて 遠く筑波の峰を見るかな 後世まで伝わっているのは、 なぜかこの一首だけという陽成院だが、 この歌はおそらく百人一首中でも、 認知度は低い方だろうし、 僕も以前は、 ゴツゴツした感じがあまり好きではなかった。 でもあらためて接してみると、 何とも深い味わいがある。 前半の […]

百人一首替へ歌(No.6)

第十一番歌 【原歌】 わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと 人には告げよ海人の釣船 (参議篁) 【替へ歌】 帰り来ぬ旅路と知れば八十島の 心も千々に釣船を漕ぐ 原歌の背景を説明しておくと、 参議・小野篁は、 とある事件が原因で隠岐に流罪となるが、 そのときに詠んだとされるのがこの歌で、 あのたくさんの島に向けて、 自分の船が出て行ったと、 釣船の海人よ、どうか都の人に伝えてほしい ぐらいの意。 実際は […]

百人一首替へ歌(No.5)

第九番歌 【原歌】 花の色は移りにけりないたづらに わが身世にふるながめせし間に (小野小町) 【替へ歌】 降り止まぬ雨音を聞く日々過ぎて 残る我が身に悔いなきものを 今更説明するまでもない名歌がゆえに、 畏れ多いというかプレッシャーというか、 かなり悩んだ。 原歌をビジュアルにした場合、 降り止まない雨を眺め(=長雨)ながら、 自分の容貌の衰えを嘆いている姿、 となるので、 それをそのまま、 原 […]

百人一首替へ歌(No.4)

第七番歌 【原歌】 天の原ふりさけ見れば春日なる 三笠の山に出でし月かも (阿倍仲麻呂) 【替へ歌】 ふるさとの山こそなけれ天の原 照らせる月を友も見つるや 結局帰国することが叶わなかった中国で、 故郷の日本(奈良)のことを思って詠んだ原歌に、 主観というか情感を若干プラスしてみた。 ここ中国には故郷の山(三笠の山)はないが、 夜空を照らすあの月を、 遠い日本の友も見ているのだろうか、の意。 第八 […]

百人一首替へ歌(No.3)

第五番歌 【原歌】 奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の 声聞く時ぞ秋は悲しき (猿丸大夫) 【替へ歌】 君と行きし奥山紅葉手に取れば 戻らぬ秋の鹿の音聞こゆ 原歌は、説明不要なぐらい明解で、 秋、悲しみ、鹿の声、 替へ歌ではこれらを再利用し、 「悲しみ」の正体を具体化するように心がけた。 今は別れてしまった恋人と出かけた、 奥山で拾った紅葉。 それを今、手に取ってみると、 あの幸せだった頃には決して戻れな […]

百人一首替へ歌(No.2)

第三番歌 【原歌】 あしびきの山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜をひとりかも寝む (柿本人麻呂) 【替へ歌】 あしびきの山鳥千鳥都鳥 色とりどりの初夏の街かな 第三・四番歌は、歌聖による二首で、 替へ歌など畏れ多いことこの上ないが、 まずは人麻呂のこの歌。 言うまでもなく前半は、 後半冒頭の「長い」を導くための序詞であり、 替へ歌の方でもその構造は壊さず、 原歌の持つ「鳥」のイメージを、 鳥の名前 […]

百人一首替へ歌(No.1)

第一番歌 【原歌】 秋の田のかりほの庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ (天智天皇) 【替へ歌】 衣手を濡らす涙のゆゑ問へば 恋しき人を待つ田の夕暮れ 原歌はおそらく民衆の歌を、 名君と言われた天智天皇のものとした歌で、 厳しい生活感のようなものが滲みでており、 第一番歌としては「華」がないわけだが、 それをここでは本歌取りらしく、 恋の歌に仕立て直した。 袖を濡らす涙は何のせいだろう、、 と […]

百人一首替へ歌(No.0)

「parody」(パロディ)という単語を、 手元のオックスフォード辞典で引くと、 speech, writing or music that imitates the style of an author, composer, etc in an amusing and often exaggerated way; comic imitation とある。 要は「風刺や誇張を伴った模倣作品」 とい […]

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