「物理学と神」(池内 了)
科学の諸法則を突き詰めれば、
最後はいくつかの定数の壁にぶち当る。

それらの定数には、「なぜ?」という、
おそらく文明の進歩を促進させたであろう「お決まりのフレーズ」は、
もはや通用しない。

だからそれらの定数は、神が決定したと言うしか、
いまのところ説明の仕様がない。

ただ僕個人の考えとしては、
別に神が敢えてこのように宇宙をデザインしたわけではなく、

いろんなタイプの宇宙が出来ては消え(あるいはそのうちのいくつかは消えていないかもしれない)、
たまたま我々の住むこの宇宙が残っているだけなのではないか、ということ。

それは例えば地球上の生物の進化を見ても同じで、
生命誕生以来、生物のデザインはものすごくたくさん生じたけれども、
様々な理由で廃棄されてしまったデザインがほとんどである。

ただ生物の場合は化石という形で、
かつてはこういうデザインがあった、ということが分かるけれども、

宇宙には化石がないので、
実はいろんなタイプの宇宙が存在していて、
たまたま残ったのが我々の宇宙のタイプなのだ、
ということを証明できる物的証拠が、ない。

いわゆる「並行宇宙」がそれにあたるのかもしれないが、
かつてビッグバンの名残を発見したのと同様、
もしも「並行宇宙」の存在を知らせる物的証拠が見つかれば、
宇宙論はあらたな段階に突入するだろう。

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