果たしてダ・ポンテがモーツァルトのオペラを書いていなかったなら、
彼は後世に名を残せただろうか。
残念ながら答えは「ノー」だろう。
当時の評判はそれほどではなかったみたいだが、
フィガロやドン・ジョヴァンニは、
モーツァルトの音楽全体で見てもかなりの傑作なわけで、
やはりモーツァルトあってのダ・ポンテと言うべきだろう。
そんな彼には失礼かもしれないが、
その生涯については、別段特筆すべきことはない。
当時のヨーロッパによくいた詩人、といった感じである。
ただ、モーツァルトのオペラの作者が、
最後はニューヨーカーとして生涯を閉じたというその意外さだけが、
やはり目立ってしまう。