高山宏という人の本は、随分昔に読んで、
何となくその文章が自分の性に合わないので遠ざけていたのだけれど、
今回久々に読んでみてやっぱり駄目だった。
おそらく当人としては、
種村季弘や澁澤龍彦あたりと同じ路線のつもりなのだろうけれど、
この二大巨頭には到底およばない。
西洋文学・美術・科学etc.における、
「かたち」にまつわるエピソードと自らの知見をごった煮にしたのが、この本。
挿絵だけでもそこそこ楽しめるのだけれども、
何を言っているのか皆目分からないキャプションが多い。
頭でなく、目で楽しむべきか。
そもそも、「かたち」とは何なのだろうか?
「空間」と「物体」の境界線?
それでは、「空間」とは?「物体」とは・・・?
当然ながら、そんな疑問が頭に残ったまま読み終わる。
そしてそれも、著者の狙いであるに相違なく、
まんまと策略に乗ってしまった。