「東京日記 他六篇」(内田 百間)
20代の頃とかは、
百間のことを懐古趣味の地味な小説家だな、、
とぐらいしか思っていなかったけれども、
最近読み直してみると、これが凄い。

師の漱石なんかを遥かに上回る力量の持ち主だと思う。

文章のリズム、研ぎ澄まされた感覚、
それらはやはり漱石仕込みの俳句の追究に由来するのだろう。。

そして、この本に収められた作品、どれも怖い。

『サラサーテの盤』なんて、
最後の五・六行だけで、読者の恐怖心を一気にクライマックスにもっていき、
何とも言えない気味の悪さを残していってくれる。

不思議といえば、不思議な作家である。

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