先月末に
「ハッブル望遠鏡が132億年前の銀河をとらえた」、
というニュースを目にした。
天体までの距離測定というのは一筋縄ではいかず、
ましてや132億光年ともなれば、
相応の誤差を含んでいることは覚悟しなくてはならないけれども、
現在の宇宙の年齢が140億歳弱だということを考えれば、
宇宙の最初期に誕生した銀河を補足したことになる。
個人的な見解では、
もうこれで天文学の使命はひとまず終わったのではないか、
ということ。
言いかえれば、宇宙にはもう、
「見るべきものは残っていない」。
あとは天体物理学が、
この宇宙を満たすダークエネルギーと大統一理論について解明さえできれば、
宇宙の謎はほぼ解けるところまで来ている。
ただそれはもちろん、「見えない宇宙」についての理論的解明であって、
「見る」ことを大前提とする天文学にとっては、
肩身が狭い状態が続いている。
乱暴に言ってしまえば、
望遠鏡の進歩よりも、理論の進歩の方が早かった、ということである。
望遠鏡か、理論か、というと、
20世紀初めの、ハッブルとアインシュタインの話が思い浮かぶ。
そう、アインシュタインが「生涯最大の汚点」と称した、
あの宇宙項にまつわる逸話である。
その宇宙項がまさかダークエネルギーという形で現代に蘇るとは、
さすがのアインシュタインの方程式でも予測はできなかっただろうが、
その詳細については、またあらためて書こうと思う。