白洲正子さんの、古典関連のエッセイは昔よく読んだ。
最近になって、
昔読んだ本を読み返すことが多くなったのは、
古本屋によく行くようになったから。
なぜ古本屋で買うようになったかといえば、、、、
その理由はご想像にお任せいたします。
このエッセイ集のテーマはずばり、「道行」だろう。
タイトルの「古典の細道」というのもそれを暗示している。
道行が出現するのは、なにも文学の中に限ったことではない。
この本でとりあげられている継体天皇や東福門院といった、
歴史に翻弄された人物の生きざまにも、
やはり「道行」が顔を出す。
道行とは、いわば、
日本型悲劇の根底に流れる通奏低音のようなものであって、
それを理解しないことには、古典文学はもちろん、
日本文化というものを分かることはできないのだろう。
「古事記」から、磐之媛の美しい長歌。
つぎねふや やましろ河を 宮のぼり 我がのぼれば
あをによし 奈良をすぎ 小楯 大和をすぎ
我が見が欲し国は 葛城高宮 我家のあたり