「知っておきたい 法則の事典」(遠藤 謙一)

法則とは帰納的なもので、
法則があるから世界があるのではなく、
世界があるから法則がある。

だから法則を知ったところで、
世界を理解したことにはならないが、
法則を知ることなしには、世界は分からないのである。

帰納的に導き出された(あるいは「発見」された)法則の卵ともいうべきものが、
普遍的に当てはまるかどうかを証明するのが、
科学のつとめである。

逆にいえば、このような手続きを踏んでいないものは、
厳密な意味での法則とは言えないだろう。

たとえば、この本で紹介されている、
「昔ばなしの法則」。

昔ばなしには、決まった型をしているものが多い、
というだけで「法則」としているが、

昔ばなしならば必ずその型をしているわけではなく、
反対に、その型をしていないから昔ばなしではない、
というわけでもない。

つまりこれは「法則」とはいえないのである。

このような「法則もどき」と、
かたや「クーロンの法則」のような絶対的な法則が、
十把一絡に紹介されているのには違和感を感じるが、
まぁそれもこの本の特長ということで。

物理学・生物学・社会学・経済学等の分野から、
100以上の法則が紹介されていた中で、
個人的に「King of Law」を選ぶとすれば、それは、

「熱力学の第一法則」(エネルギー保存則)

科学分野だけではなく、
日常生活においても忘れてはならない法則である。

すなわち、
「快楽には、遅かれ早かれ、それ相応のコストが伴われる」。

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