「にほんのかたちをよむ事典」(形の文化会)
「よむ事典」と題された本は、昔からある。
「飲むヨーグルト」みたいなものだと、
なんとなく考えていた。

それはともかく、「かたち」という日本語は、
しかもひらがなで書けば一層、便利なことばで、

フォルム・カラー・シェイプ・レイアウト・テクスチャ・モード…等々、
デザインやアートに属する概念をすべて包含してしまう。

たとえば「茶道のかたち」といえば、
それは茶碗を回してお茶を口に運ぶという動作も、
四畳半の茶室のもつ独特なエネルギーも、
茶道に連なる和歌の伝統も、
そしてもちろん茶碗そのものも、

茶道を取り巻く「物質的」「精神的」なあらゆる「モノ」が含まれ、
そのひとつひとつが日本という時空の中で複雑に絡み合いながら、
「かたち」を形成しているのである。

つまりあらゆる「モノ」は、
日本文化のデータベースの一員であり、
かつ複雑なネットワークの因子であると言える。

日本文化を理解するカギはまさにここにあるのであって、
ひとつひとつの事象が、
おそろしく複雑なコンテクストを持っているのである。

そしれそれをいかに分かりやすく解きほどくかが、
日本文化を語る者の使命でもある。

この本にはそれを期待したのだが、、、、
残念ながら満足はできなかった。

それぞれのパートが違う著者によって書かれているため、
肝心な「ネットーワーク」を掴みきれていないし、

著者のレベルもバラバラなため、
中には「?」と思ってしまう項目もある。

やはり「日本文化のネットワーク」を解きほぐす作業というのは、
誰かが責任をもって、
人生を賭けてやらなくてはならないぐらいの仕事になるだろう。

…ん…?、はい、私はやりませんよ…
だって、時間が…。

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