1970年代、当時国内唯一の天文台だった、
岡山県の天文台での一年を記した、
日記形式のエッセイ。
一年中望遠鏡を覗いている人もいれば、
毎日顕微鏡の前に座っている人もいる。
僕も含めて、大多数はその中間なのだが、
では一体、大多数の我々は何を見て過ごしているのか。
この日記の最後、197X年12月31日は、
アポリネールの詩で閉じられている。
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ミラボー橋のその下を 流れるは
セーヌの川か 我が恋か
・・・・・
・・・
日々は過ぎ去り 止まるは、我。
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言葉を星になぞらえた人もいたけれど、
詩人というのは天文学者に近いのかもしれない。
星の海と、ことばの海。