副題は「山手線いまとむかし」。
「いまとむかし」と言っても、
この本は昭和44年出版なので、
平成の今から見れば、
「山手線むかしとそのまたむかし」。
山手線の駅をひとつずつ取り上げて、
それぞれの街の生活風俗を語る、というエッセイ。
40年以上前と、平成の現在とが、
意外にもそれほど変わらないことにまず驚く。
結局、街は変わらずに変わってゆくのは人の心なのか。
いや、人の心が変われば街も変わるはずだ。
それでも変わっていないように感じるのは、
読者である僕の感性がズレているのか…。
などとあれこれ思いつつ、
これとそっくり同じ企画で現代版を書いてやろうかなどと、
企ててもみる。
品川から始めて新宿で終わる、というこの本の構成にも、
著者のこだわりがあるような気がしてならない。