「オカルト vs サイエンス」という構図は、
時代によって両者の定義や内容が変わりこそすれ、
いつの世も存在するものである。
但し、不公平かもしれないことに、
サイエンスは、オカルトを否定するためには躍起となるが、
オカルトの存在を肯定するために、
己の知性を費やすことは、まずない。
この本では、そんな「オカルト vs サイエンス」の、
興味深いバトルが読めると期待していたのだが、
残念ながらそうでもなかった。
「で、結局どうなったの?」ということが語られぬまま、
エピソードがやや冗長気味に進められてゆく。
科学の力も及ばぬ限界がある、ということが言いたいのであれば、
もっと別の書き方もあったのだろうし、
おそらく筆者としては、
どちらにも肩入れをしない中立の立場を取りたかったのだろうが、
それが逆に、
隔靴掻痒な感じを読み手に与えてしまってはいないだろうか。
でもポルターガイストとか、サイコキネシスといった、
「胡散臭い」テーマを真面目に取り上げたという意味では、
この本は評価できるのかもしれない。