数年前、「NINE」という映画を観に行く際に、
その原作である、フェリーニ監督の「8 1/2」のDVD(愛蔵版)を買ったのだが、
結局DVDの方は観ることのないまま、
時間が経ってしまっており、このたびようやく鑑賞。
1963年のイタリア映画。
さすが、名作と呼ばれるだけはあって、よくできている。
実際の映画と、劇中の映画という二重構造の中で、
現実と妄想、そして記憶を交差させながら進めていくこの作品を観ると、
別に映画にはCGや3Dなんて必要ないじゃん、と思えてしまう。
映画から何をテーマとして感じるかは、
各個人の自由にすればいいと思うが、
僕的には、この映画のテーマは、「男の救いようのなさ」。
仕事に追われ、中途半端なプライドが顔を出し、
いつまでも女にモテたいと思い、
そのくせ幸せな夫婦生活も望んでいる…。
実は重たいテーマなのだけれども、
フランス映画のようにドロドロに描かないところが、
また素晴らしい。
そしてなんといっても、
主役のマストロヤンニがイイ男すぎる。
「NINE」の方のダニエル・デイ=ルイスは、
疲れた男の役を巧く演じていたけれども、
イタリアのプレイボーイを演じさせたら、や
はり本家本元に敵うはずがない。
音楽も秀逸。