かつて巨大なトンボやゴキブリが存在していたことは有名な話だが、
昆虫の巨大化が何故ストップしてしまったかについての、
新説が最近発表された。
それは鳥との生存競争に敗れたというものである。
これはある意味では正しいかもしれない。
陸・水中・空中、どこにおいても、
「似たものは淘汰される」という鉄則がある。
また逆に、ある種が滅びると、
その種の占めていた領域を埋める別の種が登場することになる。
それは進化の世界だけに限らず、
テレビに出てくる芸能人にも、実は同じことは言える。
なので、鳥とほぼ同じ大きさになった昆虫が、
鳥との生存領域が「かぶった」ために争いに敗れて、
以降巨大化しなくなった、という可能性はなくはないと思う。
でもたぶん、この説は誤りだろう。
・理由1:
すべての昆虫に当てはまるわけではない点。
確かにトンボであれば、鳥と争う可能性もあるだろうが、
じゃあゴキブリは?
そもそも巨大かどうか分からなかった、
その他の昆虫はどうだったのか?という疑問が残る。
・理由2:
巨大化が抑制されたのは昆虫だけではなかった点。
中世代までは、昆虫のみならず、爬虫類も植物も、
いまよりはるかに巨大だったことは化石が証明している。
つまり昆虫以外の生物についても巨大化が抑制されているわけで、
昆虫だけの問題ではなく、
地球環境全体の変化に原因を求めるのが、適切だろう。
ということで、生物の巨大化が抑制された原因は、
目新しくもないが、やはり下記であろうと思われる。
・酸素濃度が低くなったこと。
・地球の重力が強くなったこと。
それでもひとつ疑問は残る。
果たして古代の昆虫はすべて巨大だったのか?
もしそれがトンボやゴキブリなどの固有の種だけに見られたものなのだとしたら、
そこから何か得られる情報があるのではないか?
たとえば、トンボの幼虫(ヤゴ)は水棲だし、
天敵に狙われやすいサナギの時期もない。
ゴキブリは(ご存知のとおり)恐ろしいほどの雑食で、
それが古代からの性質なのだとしたら・・・
などなど、昆虫学者にとっては興味深い研究テーマになりそうである。
でも僕が踏み込めるのは、ここまで。