胴元がいるギャンブルというのは、
やればやるほど、回収率は寺銭を除外した率に近づいていくので、
バカバカしくてやる気がしないが、
血統や展開推理が好きなので、競馬はもう20年以上も興味を持って見ている。
今年の凱旋門賞。
結果はともかく、日本馬2頭の騎手心理に興味深いものがあった。
※テレビがないので、youtubeで観戦。
4着だったキズナの武豊。
前哨戦を勝ったときのように、直線一気に徹していれば、
あとひとつぐらいは順位を上げられたかもしれない。
しかし早めに仕掛けて4角で先団に取りつく形に。
これはいわゆる「勝ちに行く競馬」をしたわけだけど、
もしこれが僅差の2着とかだったら、(ディープインパクトで負けたときのように)早仕掛けだ、とこき下ろされたに違いないが、
結果は、「善戦」の4着。
だからあの乗り方は「勝ちにいっての好騎乗」ということになる。
同じ乗り方でも結果によって評価が変わってくるのは皮肉なものだが、それもまた競馬。
2着だったオルフェーヴルのスミヨン。
去年は早めの抜け出しでまさかのソラを使い、無念の2着だったことは、記憶に新しい。
今年は、そのような馬の気性面も徹底的に解消し、期待も高まっていた。
そして、前哨戦では、早めの抜け出しから圧勝していた。
本番でもそのような形で勝負に出れば、結果は違っていたかもしれない。
しかし、スミヨン騎手が(あるいは陣営が)とった作戦は、馬群に入れての中団待機で、
4角入口まで抜け出しをガマンする、という形だった。
スミヨンとしては、去年の悪夢が頭をよぎり、仕掛けのタイミングを遅らせたのかもしれない。
あるいは、直前の追い切りで練習していたように、敢えて後ろから仕掛けるという陣営の作戦だったのかもしれない。
どちらにせよ、騎手や陣営に、去年の2着への固執があったことは明白で、
それがゆえに大事に乗り過ぎたという感が否めない。
勝った馬はズバ抜けて強かったが、オルフェーヴルとの斤量差は5キロ。
5キロも軽い馬を後ろから追い抜くのは至難の業で、
だからこそ出来るだけ引き離して直線に入るべきだったと思うのだが、今更仕方がない。
「馬は生き物だから競馬は面白い」というのは確かにその通りだが、
「騎手が人間だから競馬は面白い」というのもまた事実である。
最後に。
まさかそんなことはないとは思うが、地元のスミヨンが騎乗したばっかりに、
何か裏でやましいことがあったのでは、、などとも勘ぐってしまう。
フランス語も何も分からない、日本人の騎手を乗せた方が、
逆にノンプレッシャーで良い結果が出ていたのかもしれない。
そんなことまで考えさせてくれた、なかなか面白いイベントだったと思う。