どの世界・業界にも、タブーというものはあるもので、
そこに踏み込まないことで、良かれ悪しかれバランスが保たれているということが、
よくある。
最近、体調が悪く、家に籠ってネットのニュースを細かく見る機会が多かったのだが、
以前はタブーとされていたことが、何とまぁ、よく語られるようになったことか。
振り返ってみれば、東日本大震災でいろいろな神話や虚像が、
その正体を暴露されてしまったことで、
そこから一気に、それまでタブーだったものが、
公然と語られ、いや暴かれ始めたような気がする。
ひとつひとつについて、語るつもりもないし、その知識もないのだけれど、
最近、「アメリカ」というタブーについて、考えることが多い。
そもそも疑問を感じていたのは、大学受験で世界史を勉強していたころ。
1.アメリカはなぜ太平洋戦争を始めたのか。
2.アメリカはなぜ北方領土問題に口を閉ざしているのか。
この2点は、今でも僕の中でもモヤモヤしており、
例の基地移転問題やら、大阪市長の発言やらで、あらためて考えてみた次第である。
ひとつめの疑問について。
あの戦争は、そもそもアメリカには何の関係もなかった。
ヨーロッパでの第二次世界大戦と、日本と中国との戦争は進んでいたが、
アメリカには直接の利害関係はないもので、
むしろアメリカは、対外的地位の向上と国内の景気上昇のために、
参戦の機会を窺っていたのではないかとも思われるのであり、
あえて真珠湾に隙を作り、そこに日本軍を誘い込んで被害者顔をした、
という陰謀説がささやかれているのも、強ちには否定できない。
これは、朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラン・イラク戦争、湾岸戦争、アフガン問題等々、
ことあるごとにシャシャリ出てくるアメリカの性格を考えれば、
さもありなん、と思えてくる。
ただ、実は、開戦から終戦後まで、第二次世界大戦をめぐる世界情勢というのは、
それこそ各国の私利私欲のうずまく複雑怪奇なものだったため、
単純に「歴史認識」といっても、そう簡単に片づけられるものではない。
おそらく、いまだにタブーとなっている秘密文書とかが、
各国の政府の書庫の深くに、厳重にしまわれていたりするのではないか。
ただひとつだけ言えることがある。
あの戦争は、アメリカにとっては「完全なる勝利と正義」でなくてはならないのであり、
そこを否定するような要素は、現在のアメリカの立場を揺るがしかねないものである。
だから原爆投下を非難することは許されないし、
「アメリカだって日本で酷いことしましたよね?」なんてことは、
それこそタブー中のタブーなわけだ。
ふたつめの北方領土問題。
あの大戦時、日本はソ連と戦争する気などまるでなく、
そのための日ソ中立条約だった。
アメリカにとっては、それが腹立たしかった。
北からソ連が対日参戦してくれなくては、日本にトドメを刺すことはできない。
そこでアメリカは、北方領土という「エサ」を与えることを約束し、
ソ連を戦争に引きずり込んだのである。
だから北方領土問題は、そもそもはアメリカが旗を振って解決すべき問題なのだが、
現在のアメリカにとっては何のメリットもない上に、
過去の汚い取引を、今更明るみにするのも都合が悪いので、何も語ることはない。
そういう意味では、日本やロシアは、大人だと思う。
もちろん両国ともに、「これってアメリカさんのせいですよね」ってことは、十分承知だが、
そんなことを言っても、何の解決にもならないし、
アメリカの面子を潰すことになるので、
大人の対応をしているというわけだ。
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戦後、アメリカにとっての天敵だった共産主義は自滅し、
イスラムに対する地位もそれなりに示し、
テロと戦う正義の国、とイメージの植え付けにも、一応成功した。
それは、「良き子分」となった日本に対しても同様で、
「頼れる正義の兄貴分」としてのイメージ戦略は、
まさに国家レベルのPR活動として、上々の出来映えだろう。
(そこに日本のマスコミも多分に加担していることは、言うまでもない)
アポロ計画は実はウソで、アメリカは月になんて行っていなかった、という珍説や、
9・11は、アメリカの自作自演だったというデマが出回ったこともあったが、
その真偽はともかく、この国の取ってきた行動からすれば、なるほどね、と、
思えてしまうのである。
つまり何が言いたいかというと、
ニュースが語ることも、政治家が言うことも、教科書に書かれたことも、
多くは主観とデタラメの混合物であって、
結局は自分で考え、判断するしかない、ということ。
そういう意味では真実はひとつではないし、
そもそも真実ってなんだ?という哲学的な問題になってしまう。
ただひとつだけ言えることは、
アメリカに対するタブーが破られることは、あり得ないでしょう。
アメリカン・ヒーローは、常に勝ち続けなくてはならないので。
あ、誰か来たみたいなので、これぐらいにしておきます。
こんな時間に、誰だろう・・。