我々ヒトを含めた、地球上のすべてのものが、
原子からできている以上、
その起源は、ビッグバンの後に誕生した原子を祖先としていることは、
今更いうまでもない。
ただ、我々が、クジラを見たときには同族意識のようなものを感じるかもしれないが、
博物館で恐竜の化石を見たときに、それを感じるか、
あるいは河原に落ちている石を見たときにそれを感じるか、
ということについては、おそらく答えはNOだろう。
だが、我々の体も、岩肌も、
もともとは同じものから出来ている、
そのことの意味について、あらためて考えてみよう、
というのが、この本の主旨である。
思えば、近代以降、科学は各分野に細分化されすぎた。
天文学、物理学、地質学、進化学、生物学、等々の、
一見離れ離れになったリンクを繋ぎ直し、
宇宙や生命の根源に迫ろうとする、この書の意義は大きい。
もちろんこの本では触れられていないが、
たとえば、東日本大震災。
あれは、地震という惑星内部の現象によって、
原発という宇宙エネルギーの事故が誘発されてしまったという、
象徴的な災害でもある。
このブログでも常に言っているが、
現在の地球上のあらゆる事象は、
単純なアプローチでは説明しきれないものばかりになってきている。
だからこそ、複合的な学問による事象の追究をテーマとした、
この本のような姿勢が、現代社会には望ましいものであると、僕は思う。