最初の章とあとがきを読めば、
著者がこの本で何を目指していたのかは、分かる。
すなわち、
古今東西、文学作品だけではない様々なジャンルの文章を挙げ、
「言葉づかい」という狭義にとらわれない「文体」について、
いろいろと吟味してみる、ということ。
ただ、残念なことに、
例として採り上げた文章が圧倒的に少ないし、
分析も浅すぎる。
何よりも、分析に用いる「ものさし」が一定ではなく、
文章によって見方がいろいろと変わるため、
結局何をしたかったのが分からない。
言ってしまえば、風呂敷を広げただけで終わってしまった感じだ。
エッセイならそれでもいいんだけど、
これで本のタイトルに「科学」とかつけてしまうのは、
出版社含め、お粗末だと思った。