「辞書を編む」(飯間 浩明)

 

学生時代の就職活動のときに、
出版社の面接で「辞書を作りたい」と言っていた。

面接官には、「若者にしては珍しい」と、
感心というよりも嘲笑に近い表情をされたことを、
よく覚えている。

そして結果は、全社不採用。

あれから20年以上経ち、
当時の理想とはほど遠い仕事に就いてしまってはいるが、
相変わらず、辞書は好きだ。

その辞書が、どのように作られるのか、
さらに改訂というのは、どのような基準で行われるのか、
興味深く読ませてもらった。

僕個人が感じている辞書の面白さは、
各辞書によって(同じ出版社のものであっても)、
個性がまったく異なること。

あっちには載っているのに、こっちには載っていない、
なんていうのは当たり前だし、
掲載されている語でも、語釈や用例がまるで違っている。

この本の著者は、「三省堂国語辞典」の編者であり、
他の辞書とどのように差別化していくか、
という部分がとても丁寧に描かれている。