「史的に見たる科学的宇宙観の変遷」(アーレニウス)

 

われわれ人類が、どのように星や宇宙を眺めてきたかを、
膨大な知識と鋭い観察眼で記した名著。

しかも訳者は寺田寅彦。
古本屋でしか手に入らないのが惜しい本である。

最後の方に、著者自身による宇宙観が部分的に語られるのだが、
生命は宇宙から来たとする、「パンスペルミア説」の立場をとっていることが、非常に興味深い。

いまとなっては割とメジャーな説となった、
全球凍結の後に生命の大爆発が起こったことなどにもさらりと触れられており、
アーレニウスの洞察力には、うならされる。

おそらく、この本の前の所有者によるものだろう、
最後の頁に、赤ボールペンで次のような書き込みがしてあった。

「2012/12/3 あまり参考にならず」

これだけの本を読んで「参考にならず」というのは、
そもそもお門違いな本を手にしてしまったということなのだろう。