11月20日、衆議院議員会館で行われた、
「漆(うるし)」についてのフォーラムに参加した。
議員会館なんて初めて足を踏み入れたのだけれども、
とにかく入口のセキュリティの厳しさは、空港以上。
さて、かつては普通名詞の「japan」といえば、
「漆」もしくは「漆製品」のことを指していたというが、
実はすでに明治時代から、漆の大部分は中国から輸入していたそうで、
現在では、国内で消費している漆のうち、
国産の漆はわずか3%にすぎない。
国産の漆は、中国産と比べて原価が5倍で、
しかも漆の場合は、中国産だからといって品質が極端に下がるわけではないというのが、
国産の漆が風前の灯火となっている原因であるという。
まして、漆製品自体の需要も少なくなっているため、
古くは縄文時代から我が国で作られ、使われてきた漆が、
消滅の危機に瀕している、というのが現状である。
そこで、国産漆の需要を高め、漆産業を活性化させるために、
国会議員出席のもと、フォーラムが開かれたわけだが、
なんとも折悪しく、衆議院解散の前日となってしまい、
議員の出席ゼロという少し残念な結果に。
漆の需要を高めるためには、
従来のような食器や仏壇などに使う以外にも、
もっと身近な使い方があるのではなかろうか、ということで、
今回目を付けられたのが、フィギュア。
漆塗りのフィギュアを、「クールジャパン」の一環として、
主に海外に向けて出荷しよう、というのが大きな目的である。
苗を植えてから、漆が採れる木に育つまでに、10~15年。
驚きなのは、1本の木から約4日かけてわずか牛乳瓶1本分の漆を採取したら、
その木は伐採して、主に薪になってしまうのだという。
牛乳瓶1本の漆のために、15年!
しかも再採取不可能とは!
まぁ確かに贅沢品には違いないのだが、
我が国の伝統芸能や神社仏閣、芸術品は、漆なしでは存在しえないので、
それがすべて海外産になってしまうのは、やはり寂しくはある。
その打開策として、フィギュアという手法がよいのかどうかはともかく、
漆の現状を知り、今後を考えることができたのは、とても有意義であった。