恐竜や翼竜などの爬虫類と違って、
特に中生代の哺乳類は地味な存在だったので、
展示の仕方に工夫がなければ、退屈な内容になることはあらかじめ予想はしていたが、
まさに予想が的中。
僕のようなモノ好きが、解説を読みながらフムフムと進む分にはよいが、
メインターゲットであるはずのイマドキ小学生にとっては、
絶対に刺激不足だったと思うし、
常設展込みでも、1600円はたけーよ、というのが正直な感想。
実際の化石(体の一部)と、骨格を復元したレプリカが、展示の大部分を占めていて、
その中でも目玉は、ナウマンゾウ(マンモスではない)の親子3頭を復元した骨格。
骨の質感にリアリティがないし、これじゃただのデカいプラモデル。
ナショナル・サイエンス・ミュージアムともあろうものが、
こんなレベルに甘んじるなと言いたいですよ。
太古の哺乳類には、もっと珍しくて、ワクワクするようなのがいっぱいいたんだけどね・・。
それでもメインはナウマンゾウか。
まぁ、仕方がない。
なので途中から頭を切り替えて、
骨格のデザインについて注目してみた。
生物の造形、といった場合、通常は皮膚や外殻を伴った、「見た目」のことをいうが、
それらの外套を取っ払って、骨だけにした場合、
それはそれでまた別のデザインが露出することになる。
どんな美男美女でも、骨になってしまえばみんな一緒で、
要するに、見た目のデザインと骨格のそれとは、まったく別物なわけで、
さらに面白いことには、全体の骨格としてみた場合と、
一部分の骨だけをクローズアップして眺めた場合とでは、
これまた印象が異なってくる。
これは、象類の下顎の骨。
言われれば、なるほど、と思うけれど、
エイリアンぽいというか、ギーガー風のSFバロックな、なんとも絶妙なデザインではないか。
でもこれが、他の骨と組み合わさって、象の骨格が出来上がってしまうと、
途端に魅力がなくなってしまう。
コンテクストから切り離されたパーツは、
時として異様な働きをすることがある、ということの典型例ではなかろうか。
ということで、この展示はつまらなかったという結論。
僕が子供のころ、30年前ぐらいと大差なく、
進化を扱う展示自体が進化していないというのは、ちょっと残念だ。
気を取り直して見た常設展の方が数倍楽しくて、
キャベンディッシュによる重力可視化の実験の再現を、
5分間微動だにせず眺めて、コンタクトを落としました。