「富士山、2200年の秘密」(戸矢 学)

 

Aという事象と、Bという事象があったとする。

その2つにどれほど「関係がありそう」だとしても、
2つに因果関係がある、と断定するのには、
相応の手続きが必要となる。
そして、それを行うのが学問の役目でもある。

ましてや、AとBいずれかの事象が、
「100%真であるか疑わしい」のであるならば、
状況はさらに悪くなる。

この著者は、上記二種類の根本的なミス(というか確信的に)を犯している。

つまり、実証されていない「仮説」を真実であるかのように取り上げ、
さらにそれらを因果関係で結ぶ、という作業だ。

まぁなので、フィクションだと思って読めば差支えないのだが、
こういう本は、科学系の書物ほど批判の対象にならないため、
一部の読者には「真実である」と受け取られてしまう恐れがある。

中国の秦の時代、
不老不死の薬を探して旅立った徐福が辿り着いたのが日本で、
伝説の蓬莱山は富士山のことであった、

というのがこの本の主張のベースになっているのだが、
その証明がまったくなされていない。

それはつまり、ピラミッドはエイリアンが建造したと主張するのと、
同じレベルである。

その他にも、たとえば、
「人は死ぬと神になる。だから神はもともと、すべて人であった」
というような、唖然とさせられる強引な論の展開も多々見受けられる。

何より驚いたのは、こんな本でも、
amazonにはたくさんのレビューが載せられており、
そのほとんどが高得点であることだ。

おそらくはサクラなのでしょうが。

ところどころ、正鵠を射るような記述もあるので、
なおタチが悪い。

それを分別しながら読めるのであれば、
暇つぶしぐらいにはなるだろう。